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223号(2020年9月号)今、こんな仕事をしています

堀川出水団地第三棟及び下立売団地の 改修設計を担当しました。


皆さんは京都市の堀川通沿いに6棟の団地が立ち並ぶ堀川団地をご存知でしょうか。

 皆さんは京都市の堀川通沿いに6棟の団地が立ち並ぶ堀川団地をご存知でしょうか。
 堀川団地は戦後復興期の1950年頃に住宅難解消と商店街の復興を目指して建てられた店舗付き集合住宅(いわゆる下駄履き住宅)です。竣工当時には文化的、衛生的なアパートとして大変人気を博し、1階の商店街も戦後復興に大きく寄与しました。その後、時間の経過とともに老朽化、再生の議論を経て、6棟の内4棟を改修、2棟を建替することが決定されました。アルパックではその内の2棟(出水団地第三棟、下立売団地)の改修設計を担当しました。

外観:出水団地第三棟

外観:出水団地第三棟

 再生に際して、改修する住棟では、多様な人が住める環境とするため、様々な住戸タイプの整備やエレベーターの設置、耐震改修等が行われることとなりました。また、再生のコンセプトとして「アートと交流」が掲げられ、堀川通の新しい顔となることを目指しています。それらの方針を踏まえ、我々は改修設計をまとめていきました。

面影率50%住戸。古い要素を残しながら新たに土間や風呂、トイレ等を整備している。

面影率50%住戸。古い要素を残しながら新たに土間や風呂、トイレ等を整備している。

 外観等は基本的に当初の意匠を引き継いでいますが、いくつか新しい要素を取り入れています。出水団地第三棟では窓台に新設置する格子に京都の伝統的な格子の寸法やディティールを参照したデザインとしています。また、建物が位置する西陣エリアの魅力発信に寄与するため、階段室の壁と天井に伝統的な染物の色を取り入れ、夜間には照明によりその色が外に漏れ出すように設計しました。住戸内は各住戸で古い部分を残す割合(面影率)を様々に定め、昔ながらの古い住宅と新しい要素が共存しながら現代の生活に適応するようにしています。
 建設から約70年が経過した堀川団地ですが、今回の改修や整備によって次の時代においてもまちの賑わいの中心として受け継がれていって欲しいと思います。
※本業務は建築プランニング・デザイングループの原田稔、杉本も担当しました。

梔子色を取り入れた階段室

梔子色を取り入れた階段室

塗師木伸介:建築プランニング・デザイングループ

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