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223号(2020年9月号)今、こんな仕事をしています

ダム事業による10 年以上の休耕を経て新しく よみがえる地域農業-農事組合法人茨木おおいわの設立-


コロナ禍の2020年6月に30名以上の組合員(地権者)が大岩地区公民館に集まり、「農事組合法人茨木おおいわ」の設立総会が開催されました。

 コロナ禍の2020年6月に30名以上の組合員(地権者)が大岩地区公民館に集まり、「農事組合法人茨木おおいわ」の設立総会が開催されました。
 当地区は、大阪府茨木市の北東部の安威川上流部にあります。1960年代の大雨被害や水需要への対応のため安威川ダム事業が構想され、紆余曲折はあったものの事業は継続されて、当地区ではそのダム建設に伴う残土を受け入れ、加えて農地のほ場整備を行ってきました。その関係で2007年から休耕状態になりました。
 各農家にとっては、休耕補償は入るものの、担い手は確実に歳をとり、農業技術だけではなく、体力や気力も衰え、農業機械も老朽化します。そんな中で、ほ場整備完了予定の2021年の営農再開をどう考えるかについて、2016年より検討してきました。
 在外地主も含めた地権者へのアンケートや話し合い、事例視察等を重ねた結果、ダム事業の影響とはいえ、税金を投入して整備した農地を遊ばせるわけにはいかない、しかし、個々の農家が営農するには人材や農業機械も含めた負担が大き過ぎるということで、共同で事業体をつくって営農する方向になりました。事業内容や税金等の面から法人形態を検討し、農事組合法人を選択した上で、営農による収入や、農業機械や設備の購入や更新、作業人員の見通しなどを踏まえた事業計画や中長期も含む収支計画を検討し、農地面積14・3ヘクタール、組合員数35名、出資金3000万円弱(20万円/10
アール)で法人を立ち上げることになったのです。個々の農家が機械設備を購入するよりは、はるかに安い初期投資です。
 実際の営農作業は2021年春から始める予定で、まずは全面に水稲を作付し、様子を見ながら高付加価値米の生産や販路開拓へ展開し、ゆくゆくは、周辺に新名神高速道路のICや彩都があり、また安威川ダムを活用した観光活性化拠点等の整備も予定されていることから、それらと連携した観光や交流型の農業経営もできればなあという夢を語り合っています。
※本事業は当社としては2017年度から継続的に支援しており、地域産業イノベーショングループの武藤も担当しています。

原田弘之:地域産業イノベーショングループ

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