レターズアルパック

Letters arpak
   
214号(2019年3月号)まちかど

緩やかな空間で穏やかな時を楽しむ


スロベニアの首都リュブリャナは10年ほど前から公共空間の再生に向けた取組を進めています。

 スロベニアの首都リュブリャナは10年ほど前から公共空間の再生に向けた取組を進めています。
 近年その成果が実を結び、European Prize for Public Space 2012や European Green Capital 2016、ユネスコ文学都市(2015年12月)等、都市計画に関する著名な賞を受賞しています。
 特に、大きな街の変化として、公共交通機関、歩行者およびサイクリストが自動車よりも優先され、それらが調和して共存する都市を目指した取組であるスロヴェンスカ通りの改修事業があげられます。
 スロヴェンスカ通りは市内を南北方向に横切るメインロードで、街の大動脈のような存在です。以前は4車線道路でしたが、2012年から2車線道路に削減する計画が進められ、2015年に歩道を拡張した現在の街なみになりました。
 その結果、歩行者空間を充実させるだけでなく、レンタル自転車乗り場、レストランやバーのオープンテラス席が生まれています。また、午後の日差しが差し込む通りの東側にはマンナアッシュの並木が植えられ、春には白い花、秋には鮮やかな黄色の葉でまちが彩られています。

スロヴェンスカ通り

スロヴェンスカ通り

 この地区では交通政策も同時に進められており、現在スロヴェンスカ通りを通行できる車両は一部の市内バス及び許可を受けた一般車両のみとなっています。制限速度も時速30キロと制限されています。これにより交通量等が抑制できることから、道路と歩道との高低差は最小限に抑えられ、ユニバーサルデザインの実現とともに視覚的に一体的な街なみが実現しています。
 スロヴェンスカ通りから続くリュブリャナの中心地である新市街地と旧市街地も大半が歩行者専用道路となっており、中心地を流れる川沿いにはオープンテラスが並び、街角では様々な楽器による演奏が行われ、広場では子ども向けのイベント等が開催されています。歩行者の安全が確保されていることでまちには穏やかな時間が流れ、市民が外部空間をより楽しみながら利用する姿を目にすることができます。
 私には2歳の子どもがいますが、中心市街地を歩いていると様々な音楽にふれることが出来るので機嫌がよく、私自身も子どもが歩き回っても車が通らないことで安心して見守ることができます。テラス席に座っている人やすれ違う人も笑顔で子どもに声をかけてくれるので、よく親子で散歩や買物を楽しんでいます。

川沿いのテラス席

川沿いのテラス席

新市街でのマーチング

新市街でのマーチング

 

地域再生デザイングループ/岡崎まり

214号(2019年3月号)の他記事

バックナンバーをみる

タグで検索

ページトップへ