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Letters arpak中学校部活動の「地域展開」の実情
2023年、国は中学校の部活動を地域に移行していく方向に舵を切りました。主な目的としては、教員の働き方改革、生徒数が減少し単独校で部活動ができなくなってきたことへの対応、学校の枠を超えた選択肢の準備、といったことが挙げられます。
-都市部・地方部で異なる地域化の課題-
■中学校部活動地域移行の打ち出し
2023年、国は中学校の部活動を地域に移行していく方向に舵を切りました。主な目的としては、教員の働き方改革、生徒数が減少し単独校で部活動ができなくなってきたことへの対応、学校の枠を超えた選択肢の準備、といったことが挙げられます。
2023~2025年の3年間を改革推進期間と位置づけ、まずは休日の部活動を段階的に地域へ移行する方針を示しましたが、スポーツ関連の業務を受注し、市町村や地元のスポーツ団体のお話をうかがうと、地域移行の取組が大きく遅れている状況に気づきました。
■部活動地域移行の遅れ
遅れが生じている理由としては、地域で継続的に中学生の部活動を指導できる人材の確保が難しく、特に地方部では競技の経験者が少ない点や、指導者不足と同様に、地域クラブとなり得る「地域で活動するスポーツ団体(総合型地域スポーツクラブ等)」自体も少ないという点が大きな理由になっています。
また、部活動を地域へ移行することで、指導者や指導団体への報酬が発生することになりますが、自治体からすればその財源不足、保護者からすれば保護者負担の増大、といった点も理由の一つです。保護者負担については、金銭的な負担だけでなく、部活動の場所が広域になると、子どもの送迎等も必要になるケースがあり、時間や物理的な制約で、地域での活動を断念せざるを得ない、というケースも見受けられます。
さらに、部活動は「教育の一部」という考え方が広く定着しており、学校と部活動を切り離すことに対する抵抗が大きいことも見逃せません。
■国のトーンの変化
国は、当初、「地域移行」という言葉を使い、部活動を学校から地域へ移す、というニュアンスで取組を進めようとしましたが、上記のような課題も見えてくる中で、「地域連携」と表現するケースがみられました。学校と地域が連携して部活動に取り組む、という趣旨ですが、具体的な取組がわかりづらいことから、現時点では「地域展開」という表現が目立つようになっています。
これは、これまでの部活動を基盤としつつ、地域全体に活動が広がっていく、といった概念も含まれ、実情には最もマッチした表現になっているかもしれません。
■各地の取組や課題
部活動の地域展開を進めるため、全国各地で実証事業が数多く実施され、徐々に地域移行が進みつつありますが、現時点で最も多いのは土日の休日の地域移行を進める地域かと思われます。
ただ、地方部では、指導者や受け皿団体自体が少ないところが多い上、生徒数が減少し、単独校では部活動が成立しない地域では、複数校の部活動を合同・広域連携で行うといった取組もみられます。こういった地域では部活動の存廃自体が問題となっており、まずは何とか部活動を続けていける枠組みを取った形かと思います。
人口が多く、活動エリアを狭い範囲に限定できる都市部と、少子化をはじめスポーツに取り組む人口が少なく、山間部等を含めると活動場所が広域にわたる地方部とでは、今後、地域移行を進めていくための具体的な方策も異なってくるかと考えられますが、様々な地域での実証事業の報告等を踏まえ、これからの部活動地域移行の動向について、引き続き追いかけて業務に活かしていければと思います。
生活デザイングループ 石井 努
主にスポーツ分野を専門とするコンサルタント。自治体のスポーツ推進計画策定から体育施設の基本構想・基本計画、長寿命化計画の他、民間スポーツ団体の経営支援まで幅広く手がける。
近畿・東海圏を中心に実績を積み、施設整備や防災・福祉・環境政策など隣接分野へも展開している。
254号(2026年6月)の他記事
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