レターズアルパック
Letters arpak文化庁「近現代建築物等の継承と活用に向けた実例調査及びモデル提案」委託業務に取り組んでいます
令和5年に「文化芸術推進基本計画(第2期)―価値創造と社会・経済の活性化―」が閣議決定され、建築文化の振興に関する施策が初めて盛り込まれました。
令和5年に「文化芸術推進基本計画(第2期)―価値創造と社会・経済の活性化―」が閣議決定され、建築文化の振興に関する施策が初めて盛り込まれました。
同時に、「建築文化に関する検討会議」が設置され、建築文化の定義について議論されました。
そのような背景のなか、当社では建築文化の保護・継承に資する近現代建築物の各種情報収集やそれらの活用事例調査及び国立近現代建築資料館所蔵資料の残存状況の把握調査について支援を行っています。
報道にもあるように、丹下健三の香川県立体育館や前川國男の東京海上日動ビルの解体が決まるなど、近年では近代建築の撤去・解体が進んでいます。これまで、建築物の利活用というと古民家や近代的な意匠の銀行建築など小規模な建築物の事例が多く、店舗を入れたり、ホテルとして再生するなどが一般的ではなかったでしょうか。一方で、時代が進むにつれ大規模建築物も「文化財」としての価値が共有されはじめましたが、維持管理のコストもかかる大規模建築物をどのように保存・活用していけばよいのかと、頭を悩ましているのではないでしょうか。特に、モダニズムとは機能主義であり、その機能が終了した際に、別の機能を入れるのがよいのかどうか。議論は尽きません。
近年では村野藤吾による横浜市庁舎の一部を保存した再開発計画が出るなど、大規模建築物の保存・活用事例も散見されますが、「継承」の仕方一つとっても課題は山積みです。外壁保存が「継承」したということになるのか、併設する高層ビルと調和できるのか。
またどこからどこまでの建築物を保存対象とするのか。海外では建築物だけではなく景観や都市計画などにも視野を広げて保存の枠組みを作っている国・地域も見られます。
ソーシャル・イノベーティブデザイングループ 筈谷友紀子
249号(2025年1月号)の他記事
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