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247号(2024年9月号)まちかど

大阪と東京の2つのJPタワー


このほど、JP大阪駅前に大型複合施設「JPタワー大阪」が開業しました。オフィスの他にKITTE大阪(商業施設SkyシアターMBS(約1300席の劇場)で構成されます。敷地は旧大阪中央郵便局庁舎や初代大阪駅舎の跡地も含むことから、開発にあたって歴史の継承が意識されています。

 このほど、JP大阪駅前に大型複合施設「JPタワー大阪」が開業しました。
 オフィスの他にKITTE大阪(商業施設SkyシアターMBS(約1300席の劇場)で構成されます。敷地は旧大阪中央郵便局庁舎や初代大阪駅舎の跡地も含むことから、開発にあたって歴史の継承が意識されています。

JPタワーの全景(大阪)

JPタワーの全景(大阪)

JPタワーの全景(東京)

JPタワーの全景(東京)


旧中央郵便局庁舎の保存

 旧大阪中央郵便局庁舎は逓信省の技師であった吉田鉄郎の設計により1939年に竣工し、同じく吉田の設計により1931年に竣工した旧東京中央郵便局庁舎とともに日本における初期モダニズム建築の代表的な建物として評価が高かった建物です。
 どちらも日本建築学会や日本建築家協会などから保存の要望書が出されていましたが、解体され建替えられました。東京の方は、当時の総務大臣による「トキを焼き鳥にして食べるような話」との発言をきっかけに、全面解体からファサード保存の流れとなったことをご記憶の方もおられるかと思います。大阪の方は、ファサードの一部が建物内に移築保存されています。

保存された中央郵便局庁舎(大阪)

保存された中央郵便局庁舎(大阪)

保存された中央郵便局庁舎(東京)

保存された中央郵便局庁舎(東京)



KITTE大阪

 商業施設のKITTE大阪は、地域の名産品を販売するアンテナショップのような店舗による「ええもん にっぽん めぐり」が特徴的です。一定の年齢層以上の方にとっては、かつての梅田の地下街にあった「アリバイ横丁」の拡大版といえばご理解いただけるでしょうか。これも歴史の継承ともいえます。開発者がどこまで意識していたかは不明ですが。
 地下が横丁的なビル内の飲食店街になってるのは大阪的というべきでしょうか。また、歴史の継承ということでは、ホテルのロビーラウンジの天井などに初代大阪駅をイメージしたデザインが採用されています。

アリバイ横丁の拡大版?(大阪)

アリバイ横丁の拡大版?(大阪)

横丁的な飲食店街(大阪)

横丁的な飲食店街(大阪)


東西の施設のテイストの違い

 JPタワー大阪はどちらかというと親近感のある賑わいを目指しているような気がします(個人の感想)。一方、東京のJPタワーは日本郵政と東京大学総合研究博物館とのコラボによる博物館であるインターメディアテクが入っていたり、旧郵便局長室が保存されていたりします。JPタワー大阪とはずいぶんテイストが違っていますが、これも地域性の違いでしょうか?ちなみにKITTEという商業施設は他にも名古屋と博多にあります。
 モダニズム建築の保存手法や施設内容の違いにも東西の地域性が反映された(?)二つのJPタワー。比較する視点からもご覧になると面白いと思います。

東京大学とのコラボによる博物館(東京)

東京大学とのコラボによる博物館(東京)

東京駅が見える旧郵便局長室(東京)

東京駅が見える旧郵便局長室(東京)

東京事務所長 坂井信行

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