レターズアルパック
Letters arpak文字が持つ魅力〜先人に思いを馳せて〜
あらゆるツールを用いて自分の気持ちを伝えることが可能になった今では、人の思いや気持ちを文字にして誰かに伝える手段として認識され、ここぞという場面で使いたいと思って大切にされている手法の1つが手紙なのかなと思っています。
あらゆるツールを用いて自分の気持ちを伝えることが可能になった今では、人の思いや気持ちを文字にして誰かに伝える手段として認識され、ここぞという場面で使いたいと思って大切にされている手法の1つが手紙なのかなと思っています。
私が文字の魅力を感じたのは、高校生の頃でした。発掘調査のアルバイトをしている時に、土の中から「木簡」を発掘し、千年以上も前に書かれた文字と出会いました。何が書かれているのか、誰が何のために書いたものかもわかりませんでしたが、萎びてヘロヘロになった木材に墨で書かれたその美しく力強い文字は、炎天下の真夏に汗だくで作業をしている私の心を奪い虜にしたのでした。おそらく、その文字の力強さから書いた人の思いや状況を感じ取ったのではないかと推測しています。
木簡は、実社会で役に立つか怪しい研究のネットスラングとしても使われていますが、手紙が普及する前から東アジアで広く使われており、当時の生活様式や人々の思いを伝えるものです。木簡を目の当たりにする前は、文字で思いを伝えるには文章構成や表現力が重要だと思っていたのですが、人に思いを伝えるには文字にどう思いをのせるかも大切だと感じて実践するようにしています。
自称Z世代の私は手紙を書く機会も減ってきていますが、結婚式の列席者や妻に何度か書いた恋文では、筆ペンや万年筆を使いました。あまり字が綺麗ではないので、先人が発明した技術に力を借りて、できるだけ文字を読んでもらえる工夫をしています。手紙を書く際は、何をどう伝えたいか主観的になってしまいがちですが、受け取った相手が気持ちよく読むことができるような配慮も大切なのかもしれません。私自身もここぞという場面でのみ手紙を書くタイプなので、次に書くのはいつかも誰に書くかもわかりませんが、文字そのものが持つ魅力を大切にしていきたいものです。
公共マネジメントグループ 水野巧基
247号(2024年9月号)の他記事
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