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245号(2024年5月号)まちかど

街のコモニング~台中市の「道路・歩道政策策定フォーラム」に参加して~


3月22日に台湾の台中市で開催された「道路人本環境政策発展論壇」で講演する機会があり、市内各地で様々な関係者と意見交換する場を頂きました。アルパックでは、奈良女子大学と台湾の台中市にある朝陽科技大学・東海大学との国際研究交流に関係される先生方とのご縁があり、2016年度より参加・支援させていただいております。今回、台中市が開催されるフォーラムにおいて、御堂筋の歩行者空間化を中心とした大阪のパブリックスペースの再編について講演する機会を頂きました。

 3月22日に台湾の台中市で開催された「道路人本環境政策発展論壇」で講演する機会があり、市内各地で様々な関係者と意見交換する場を頂きました。
 アルパックでは、奈良女子大学と台湾の台中市にある朝陽科技大学・東海大学との国際研究交流に関係される先生方とのご縁があり、2016年度より参加・支援させていただいております。今回、台中市が開催されるフォーラムにおいて、御堂筋の歩行者空間化を中心とした大阪のパブリックスペースの再編について講演する機会を頂きました。

台中市主催フォーラムの登壇者と関係者による記念撮影

台中市主催フォーラムの登壇者と関係者による記念撮影

講演は東海大学の林先生に通訳を依頼

講演は東海大学の林先生に通訳を依頼


旧市街地と新市街地とを何で結ぶのか?

 台中市には、日本統治時代からの古い建物が残る旧市街地と、開発が進む新市街地とが共存しています。旧市街地は碁盤の目状に区切られており、建物の1階部分は道路から引っ込んで歩行者空間になっている古い建物が多く残っています。中国式長屋の形式で、アーケードのような部分は亭子脚(ティンツチャオ)と呼ばれています。
 一方、新市街地にはセットバック型の高層マンションや業務ビル、高級ホテル、市役所、文化施設などが集積し、2021年に新幹線台中駅と新市街地を結ぶMRTが開通しています。新市街地と旧市街地とを結ぶ交通網は2014年にBRTが試験的に開通しましたが、運用面での不備、市民の反対運動等により廃止され、優化公車専用道として運用されています。現在、2034年開業でMRTが再度計画されているとの事でした。

旧市街地での台中中区再生基地の活動
 旧市街地では、近年、古い建物をリノベーションしたスポットが相次いで生まれています。有名なスイーツ専門店に生まれ変わった「宮原眼科」は、今や台中を代表する観光スポットとなっています。今回はフォーラムの前日に、旧市街地の再生に取り組んでおられる「中区再生基地」の東海大学蘇先生との意見交換の場を設けて頂きました。蘇先生は旧市街地に住居を移転され、1階部分を店舗、2階部分をエリアの交流拠点として開放されています。各種イベントの開催、情報誌の発刊など、日本で私達が取り組んでいる中心市街地再生と共感する部分が多かったです。意見交換の場では、徒歩圏内に老舗や新しい店舗などが立地し始め、地域の物語を大切にリア・リノベーションに取り組んでおられる姿が印象的でした。

廃墟をリノベーションしたスタイリッシュなホテル

廃墟をリノベーションしたスタイリッシュなホテル

亭子脚のリ・コモニング
 台湾の街並みの特徴である亭子脚は、本来は民地内の歩行者空間ですが、経済成長と共に車やバイク利用が多くなり、現在はバイク置場や沿道店舗の屋外テーブルが置かれオープンキッチン的利用がされている箇所が多いです。今後、車から人へのウォーカブルなまちづくりを進めるためには、放置自転車問題が大きな課題ですが、台湾では亭子脚の再度の歩行者空間化が大きな課題になってくると感じました。

アーケード「亭子脚」のオープンキッチン的利用

アーケード「亭子脚」のオープンキッチン的利用

代表取締役社長 中塚一

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