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245号(2024年5月号)今、こんな仕事をしています

「産業文化都市かりや」を景観から読み解く


刈谷市は、自動車産業が盛んな愛知県の三河地域にあり、トヨタグループの主要企業本社が集積している産業都市です。

 刈谷市は、自動車産業が盛んな愛知県の三河地域にあり、トヨタグループの主要企業本社が集積している産業都市です。大正12年に豊田紡織株式会社が刈谷に試験工場をつくったのが始まりで、のちに国産自動車の開発が行われ、工場が建ち並ぶようになりました。
 その刈谷市は、第8次総合計画の将来都市像に「人が輝く 安心快適な産業文化都市」を掲げています。1968年に「生産文教都市」を都市像として以来、「産業」は刈谷という都市に欠かせないものとなっています。
 では、「産業文化都市」とは、どのような都市なのでしょうか?産業が盛んであることは、まちや文化にどのような影響をもたらし、市民にとってはどのような意味があるのでしょう。産業の成長と都市の姿はどう関係するのでしょうか。これらを景観に着目して読み解いていき、「かりや景観れぽーと」として冊子にしました。

企業がオープンスペースとして開放している 街角の写真を、表紙にあしらいました

企業がオープンスペースとして開放している
街角の写真を、表紙にあしらいました


 「まち並みをつくる産業」、「働く場としての産業」、「公共空間を豊かにする産業」、「まち・ひとを育てる産業」の4つの側面から取材していきました。都市中心部に集積している企業群は、単に「工場」や「本社ビル」がそこに建っているということを超えて、まち並みにスタイリッシュさ、おしゃれさ、緑の潤いを積極的に生み出す要素となっています。企業の文化や意識を、建物デザインや外構の緑化が表現しているように思われます。
 また、昭和30年代にはすでに工場が建ち並び、その力強さは市内の小・中学校の校歌に「世紀を照らす工業」「栄ゆく」「雄々しこの街」などとうたわれ、工場が集積する眺めは市民にとって昔からずっとシンボルであったことが分かります。
 さて、産業の成長に伴い、刈谷駅周辺では土地区画整理事業が行われるなど、街も成長し、景観は大きく変わってきました。これからも、産業とともに、産業文化都市刈谷は成長し続けていくのでしょう。

ソーシャル・イノベーティブデザイングループ 依藤光代

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