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245号(2024年5月号)特集「雨あがり」

「雨あがり」から想う


「雨あがり」と聞くと、一定期間雨が降り続いた後、止んだ瞬間の光景が思い浮かびます。雲間から光が差し込み、道には水たまりがぽつぽつと広がり、湿気を多く含んだ空気がむわっと匂うような、あのなんとも言えない感じです。雨が降っている間は、屋内で外の様子を伺いながら、雨が止んで外に出ると、なんだかすがすがしい気持ちになります。晴れて気候が良い時期には、屋外に出たくなるのに、雨が降っている間は、家の中でゆったり過ごしたくなります。

 「雨あがり」と聞くと、一定期間雨が降り続いた後、止んだ瞬間の光景が思い浮かびます。雲間から光が差し込み、道には水たまりがぽつぽつと広がり、湿気を多く含んだ空気がむわっと匂うような、あのなんとも言えない感じです。雨が降っている間は、屋内で外の様子を伺いながら、雨が止んで外に出ると、なんだかすがすがしい気持ちになります。晴れて気候が良い時期には、屋外に出たくなるのに、雨が降っている間は、家の中でゆったり過ごしたくなります。
 以前、「内と外」について、建築プランニング・デザイングループ内で自由に議論したことがありました。今回のテーマ、「雨あがり」について思考を巡らせていると、雨という存在も、建築の内と外を分けている一つの重要な要素であることに改めて気付かされます。雨が降っている時に、雨にあたるのが屋外、雨にあたらないのが屋内、また、雨にはあたらないが、壁が無くて外気に開放されているのは半屋外というように捉えることもできます。
 そして雨を防いでくれるのは、建築の要素のうち、主に屋根です(他にも具体的にイメージしますと、ピロティ空間、バルコニー下、階段下など雨に濡れない空間はあるとは思いますが)。屋根の形状にも、切妻屋根、片流れ屋根、陸屋根などバリエーションがありますが、それぞれ意匠的な見え方と雨の受け流し方の工夫の結果とも捉えることができそうです。
 そもそも建築の定義には、いろいろな考え方があるとは思いますが、建築基準法を見てみますと、「建築物 土地に定着する工作物のうち、屋根及び柱若しくは壁を有するもの~」とありまして、建築物の定義にも屋根は出てきます。雨をよけるという役割を持つ(他にも日よけの役割もありますが)、主要構造部の一つである屋根は、雨との関係の中で構築されてきたと捉えてもよさそうです。
 さて、雨と建築についてあれこれ考えている中で、日本列島は、北から南、東から西に至るまで、四季折々の様々な変化に富んだ気候、そしてそこに根付いた風土がありますが、各地を訪れた際には、単にその土地の見聞を広げるだけでなく、空間的な認識に加えて、雨が降っている時、雨があがった時など、時間的な経過も意識しながら、これからもあれこれ建築について妄想していきたいと思います。

アルパックOB 杉本健太朗

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