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245号(2024年5月号)特集「雨あがり」

いつか思い出す


2009年の初夏、とてもチャーミングでパワフルな人に出会いました。その人は定年を機に、まちづくりに取組みたい、子どもが子どもらしく遊べて原風景となるような公園をつくりたいという強い想いを持っていて、私はその想いに共感し、数人の仲間とともに、「公園づくりの会」という市民活動を始めました。

 2009年の初夏、とてもチャーミングでパワフルな人に出会いました。その人は定年を機に、まちづくりに取組みたい、子どもが子どもらしく遊べて原風景となるような公園をつくりたいという強い想いを持っていて、私はその想いに共感し、数人の仲間とともに、「公園づくりの会」という市民活動を始めました。
 これまで、公園の改修案を区に提案したり、プレーパークを企画したり、いろんなことにチャレンジしましたが、いまでも続いているのが、年に一度の「水まつり」です。公園に特大プールを持ち込んで、水鉄砲の的あてゲームやドジョウつかみ等水にまつわる遊びを行い、毎年、小さな公園に300人くらいの親子が集まります。15年もこの活動を続けていると、いろいろなことが変化していきます。まず、私たちについて言えば、会のメンバーが大きく変わりました。年に一度のイベントであっても、何かを続けることは簡単ではないなあと、つくづく感じます。そして、参加者について言えば、子どもの〝映え写真〟を撮影する親御さんが目に付くようになり、子ども達の水着はカラフルでおしゃれなものが多くなりました。こんなところでも、時代の流れを感じます。


 ただ、そうした中でも変わらないものがあって、やっぱり子どもは無邪気で純粋です。時代が変化しても、人が元来持っているものは変わらないし、人が成長する過程では、まわりの環境がとても大切で、大人の、社会の責任は大きいなあと感じます。そして、きっとそれは、大人にとっても同じで、大人も、成長するためには、自分のいる場所や環境をきちんと選ばなくてはいけないとも思うのです。
 いつも、「水まつり」が終わると、雨あがりのように、公園のあちこちに水たまりができて、その中を名残惜しそうに、子ども達は帰っていきます。イベントの企画や準備、運営費のやりくり等、大変なことは多いけれど、子どもたちが大人になったときに、いつかこの公園でみた風景を思い出して、励まされたり、前向きな気持ちになれるといいな、そんな風に思いながら、今年も「水まつり」の準備を進めています。

地域再生デザイングループ 山本貴子

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