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245号(2024年5月号)特集「雨あがり」


 LGBTQIA+のコミュニティの多様性を表す象徴ともなっている虹色の旗「レインボー・フラッグ」から連想されるのは、「No rain‘ no rainbow」という言葉です。雨が降らなければ、虹もでない。雨が降るからこそ、虹はでるという意味にもなります。

 LGBTQIA+のコミュニティの多様性を表す象徴ともなっている虹色の旗「レインボー・フラッグ」から連想されるのは、「No rain‘ no rainbow」という言葉です。雨が降らなければ、虹もでない。雨が降るからこそ、虹はでるという意味にもなります。
 多様なジェンダーやセクシュアリティの存在が知られていくようになった今、レインボー・フラッグが代表とされるプライドフラッグには、30以上もの種類が存在しているそうです。それぞれのフラッグには込められた思いや歴史、もちろんその意味も異なります。
 多様性が尊重される今、数えきれないほどの多様性を社会は、そもそも私はどのように受け止められるのでしょうか。
 昨年度、高校生向けのライフデザイン冊子の作成をお手伝いしました。その中で、LGBTQIA+や婚姻制度、育休制度等、これまで私の人生において登場回数が少なかった言葉や制度を調べ、ややこしい条文にもふれ、今の日本の原則論や限界にもどかしさも覚えました。
 例えば、「事実婚」は婚姻関係に該当すると思いますか?
婚姻について、現在日本では届出制がとられており、届を出し、受理されることで婚姻の状態となれるのです。そのため、婚姻の中には事実婚は含まないというのが原則です。
 日本では、夫婦別姓が法的にはまだ認められておらず、いまだにパートナーシップ制度がない自治体もあります。多様性を尊重している風潮を醸し出しても、社会の理解や制度が現実に追いついていない感覚を覚えます。実際に私も、掘れば山ほどでてくる多様性をどこまで受け止めることができるのか自信がありません。むしろ、多様性を受け入れられない人も一定いるのではないか、いて然るべきであり、それも含めて多様性だと考えます。ただ、これまで社会がつくりあげてきた「普通」に苦しめられてきた人が、少しでも生きやすくなってほしいと思います。
 日本ではいまだに冷たい雨が降り続き、降りやまないと感じている人もいると思います。少しでも早く虹がかかるように、まずはこの現実を少しずつ知ることから始めていきたいと思いました。

生活デザイングループ 内野絢香

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