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244号(2024年3月号)今、こんな仕事をしています

プラッと貴生川 -地域のニーズとポテンシャルを可視化する プレイスメイキングによる社会実験-


甲賀忍者やタヌキの焼き物で知られる信楽焼、NHKの朝ドラ「スカーレット」の舞台にもなった滋賀県甲賀市で、公民館の建替えに伴う交流拠点の施設計画を支援しています。

 甲賀忍者やタヌキの焼き物で知られる信楽焼、NHKの朝ドラ「スカーレット」の舞台にもなった滋賀県甲賀市で、公民館の建替えに伴う交流拠点の施設計画を支援しています。
 建替えの対象となる敷地は、3つの鉄道が乗り入れるまちの玄関口の目の前です。1日の駅利用者は多く、自宅・勤務先・通学先・お出かけ・観光地等、様々な発着点の動線上にあり、周辺には花火大会が行われる杣川や飯道山が位置するなど、利便性と自然空間を備えた一定のポテンシャルを有する場所です。他方で、駅利用は朝・夕に集中し、駅も通過拠点に留まっており、日中の賑わいや人々の滞在が乏しい空間となっていました。
 交流拠点の具体的検討を進める前に、この場所に地域やエリアの利用者はどのような期待やニーズを持っているのかを、空間の可視化を通して検証するために、既存資源やポテンシャルを踏まえたプレイスメイキングによる2か月間の社会実験を企画しました。
 企画の具体化や社会実験の運営は、地域住民や今回の取組に参加したい有志のメンバー中心に実施しました。それぞれのチームでは、場をどのような設えとするのか、そこでどんなプログラムをするのか、そもそも自分たちは何をしたいのか、積極的な議論の下、まちづくりを自分事として捉え準備が進んでいきました。
 夏の暑さが落ち着いた頃、完成した芝生広場では、オープニングイベントが開かれました。遊具で子供たちが遊ぶ中、チームリーダーと市長がまちへの想いを語る姿を、80人以上の観衆が聴く光景からは、この場所への期待感がうかがえました。
 2か月間にわたる社会実験では、こどもダンス大会、夜カフェ、マーケット、バスケ大会など、様々なプログラムを実施しました。いずれも、地域の方を中心に多世代の方に楽しんでいただき、参加者からは、「楽しかった」、「またやってほしい」といった意見を受けました。また、運営メンバーからも「頑張ってよかった」、「この熱量を大切にしたい」といった声を聞くことができました。アルパックとしても、地域と二人三脚で取り組んだこの経験は大きな成果であり、やりがいにもなりました。今後、貴生川駅周辺がどのようなエリアになっていくのか、非常に楽しみです。

地域再生デザイングループ 辻寛太

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