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244号(2024年3月号)特集「環」

アパレルで環を考える


世の中の価値観が、「モノの所有」からシェアリングやサブスクなど「モノの利用」に移行していると言われています。循環型経済を意味する「サーキュラーエコノミー」は、大量生産・大量消費・大量廃棄が前提のこれまでの経済システムに代わる考え方として注目を浴び、政策的な推進や企業のビジネスモデル等を背景に広がりを見せています。

 世の中の価値観が、「モノの所有」からシェアリングやサブスクなど「モノの利用」に移行していると言われています。循環型経済を意味する「サーキュラーエコノミー」は、大量生産・大量消費・大量廃棄が前提のこれまでの経済システムに代わる考え方として注目を浴び、政策的な推進や企業のビジネスモデル等を背景に広がりを見せています。
 サーキュラーエコノミーは、廃棄物が出ることを前提とした今までの3Rの枠組みを超えて、投入・消費する資源を抑えつつ、資源を有効活用し、新しい付加価値を生み出すという考え方です。商品等を高い価値の状態のまま流通・循環させ続けることも一つのポイントになります。こう書いてしまうと、手が届かない、とてつもない事のように感じてしまいます。そこで、少し目線を変えて。
 数年前から音楽やファッションなどで80~90年代カルチャーのリバイバルが起きています。中高年世代には懐かしいけれどチョイダサとも感じられるものが、若い世代には魅力的でカッコいいものとして受け入れられ、祖父母や親世代の洋服を譲りうけてオシャレに着こなしている若者も見かけます。80年代と現代を行き来するドラマも話題となりましたが、当時のファッションが現代の流行とつながっていることがよくわかります。
 アパレル業界のビジネスモデルは、ファストファッションに代表される大量生産・大量消費・大量廃棄だと言われています。原材料調達から製造段階までのCO2は年間で約9万ノット(1着あたり約25・5キログラム|CO2)で、服の染色等にも大量の水(1着あたり約2300リットル)が必要になるなど、実は環境負荷がかなり大きい産業です。また、1年で供給される洋服のうち9割が1年で手放され、そのうち3分の2は廃棄されているそうです。 
 30~40年前の洋服は、布地も縫製も良いものが多く、長く着られるものが多いのでしょう。新たに買うのではなく環らせる。現代の多様でジェンダーレスな価値観の中で、世代や性別なんて軽々と超えながら、祖父母や両親の洋服を当たり前に受け継いでいく社会が目の前に来ているのかもしれません。

祖父のセーターを着こなす女子高生

祖父のセーターを着こなす女子高生

サスティナビリティマネジメントグループ 植松陽子

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