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241号(2023年9月号)きんきょう&イベントのお知らせ

適塾路地奥サロン報告


第56回適塾路地奥サロンでは、社会学者の松村淳氏をお招きし、著書「愛されるコモンズをつくる」の内容を中心に私的空間を交流の場等として公に開く「コモンズ」についてお話いただきました。講演では、現在の都市の課題である私的空間と公共空間の分断、公共空間の機能不全等から生まれる暮らしの豊かさや交流の喪失、その発生過程について読み解き、私的空間である自宅の一部を開放したりカフェ等を地域の交流の場として開いていこうとする取組を課題に抗う一つの手段として示し、その開かれた空間を「コモンズ」と呼び、可能性と課題について意見交換を行いました。

「愛されるコモンズをつくる」
 講師 社会学者 松村淳氏(第56回 2023年7月28日)

 第56回適塾路地奥サロンでは、社会学者の松村淳氏をお招きし、著書「愛されるコモンズをつくる」の内容を中心に私的空間を交流の場等として公に開く「コモンズ」についてお話いただきました。
 講演では、現在の都市の課題である私的空間と公共空間の分断、公共空間の機能不全等から生まれる暮らしの豊かさや交流の喪失、その発生過程について読み解き、私的空間である自宅の一部を開放したりカフェ等を地域の交流の場として開いていこうとする取組を課題に抗う一つの手段として示し、その開かれた空間を「コモンズ」と呼び、可能性と課題について意見交換を行いました。
 「コモンズ」には「街場の建築家」の関わりが重要として、「建築家が設計し、住宅用途だけでなく交流等の目的をもった空家活用」への補助金を設け個別の事例を誘導する制度を神戸市で提案したというお話が個人的には非常に興味深かったです。質疑の中で「コモンズ」の定義について議論になったのですが、今回お話しいただいた「コモンズ」は人と人、人と空間が結びつき社会や都市の中での居場所となるような温かみを感じました。そのような場をどう作っていけるか今後の人生で考えていきたいです。(高瀬咲)

「パブリックスペースとプライベートスペースをつなぐデザイン」
 講師 株式会社GK京都 常務取締役 門脇 宏治氏(第57回 2023年6月16日)

 第57回適塾路地奥サロンでは、株式会社GK京都の門脇宏治氏をお招きし、パブリックスペースとプライベートスペースをつなぐデザインのあり方についてお話いただきました。
 講演では、「マイクロパブリック」という概念がキーワードとしてあがりました。従来の「パブリック」は「不特定多数の人々」に合わせる(人が公共空間に合わせる)ようにつくられていることから、個別ニーズへの対応が困難である一方で、「マイクロパブリック」は「近隣住民」に、日常的に利用される場として、個別ニーズに対応可能な空間である(公共空間が人に合わせる)という考え方です。
 事例としてご紹介いただいた富山市ブールバール広場では、沿道空間に芝生や丘、デッキ、タープ等が緩やかに組み合わせられ、沿道全体に一体感が創出されるとともに、利用者が思い思いに過ごすことができる多様な小さな空間が生まれていました。
 最近では、外で読書したりパソコン作業をしたりする人も多く見かけますが、パブリックとプライベートの境界を柔軟にデザインし、住民が自分だけのお気に入りの場所を見つけ、愛着を持ってもらうきっかけとなりうる「マイクロパブリック」をつくることの重要性を感じました。(竹中健起) 

適塾路地奥サロン実行委員会 高瀬咲・竹中健起

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