レターズアルパック
Letters arpak帰り道
「なにもしていないと倒れるのに、作った人すごいな~」が小さい頃の感想でした。「前輪だけがくねくね回るし、なんで小さいギアの方が大きいギアより早く走れるんだろう」、こんなことを思いながら走っていると、幼稚園の時には田んぼに落ち、小学生の時には転んで血だらけになり、どちらも通りがかりの人に助けてもらって家に帰ったのが幼い頃の思い出です。
「なにもしていないと倒れるのに、作った人すごいな~」が小さい頃の感想でした。「前輪だけがくねくね回るし、なんで小さいギアの方が大きいギアより早く走れるんだろう」、こんなことを思いながら走っていると、幼稚園の時には田んぼに落ち、小学生の時には転んで血だらけになり、どちらも通りがかりの人に助けてもらって家に帰ったのが幼い頃の思い出です。
幼い頃の記憶と一緒にある「自転車」ですが、自転車の一番の良さは友達と乗ることにあると思います。高専時代、僕は家から高専までの10キロメートルの道のりを自転車で40分掛けて通っていました。大きな橋が二つ、冬の朝には山からの吹きおろしで全く進まないなんてこともあり、「クソが!」と何度か叫んだこともありました。けれど、自転車で通うことが嫌になることはありませんでした。
その理由は自分より家が遠くにあり、毎週木曜日に必ず一緒に帰る友達がいたからです。その友達は陸上部で、木曜日が休部日でした。当時僕は何もしていなかったので、週に一度だけ二人で帰る時間がありました。車道にクロスバイクを並ばせ、順番を入れ替えながら話すこともせず、淡々と漕ぐのが僕たちの帰り方でした。風よけになりながら時に引っ張り、時に引っ張ってもらい、会話が無くても運動を通じて意思疎通ができている感じがして、心地よい感覚でした。それでも、帰り道のわずかな農道ゾーンは好きで、横並びに学校の話をしました。普段は一人で帰る道を、週に1回だけ誰かと一緒に帰る時間はとても楽しかったです。
話は変わりますが、先日仕事で地方のローカル線に乗った際、ワンマン電車の中にはたくさんの高校生がいました。ローカル線で通学をしても、ローカル線なりの素敵な思い出が出来そうだなと思いながら、ふと自分の高校時代の帰り道を思い返しました。
自転車が一年で一番心地よい季節に、もう一度体力を付けて友達と走りたいなと思いました。
地域再生デザイングループ 辻寛太
241号(2023年9月号)の他記事
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