レターズアルパック
Letters arpak自転車に乗って
ふらりと喫茶店に、それも昭和な感じの店に入るのが好きなのだけど、そういう店は自転車でないとと思う。徒歩もよいけれど、徒歩だと普段と違う道をわざわざ選ぶことについ億劫になってしまうところが、自転車だとそのハードルをひょいと越えることができ、所在を変えたときなどちょうどよい。
ふらりと喫茶店に、それも昭和な感じの店に入るのが好きなのだけど、そういう店は自転車でないとと思う。徒歩もよいけれど、徒歩だと普段と違う道をわざわざ選ぶことについ億劫になってしまうところが、自転車だとそのハードルをひょいと越えることができ、所在を変えたときなどちょうどよい。自転車に乗ったときの、自分のテリトリーが広がっていく感じが好きなのだろう。
大阪事務所がOBPから船場(淀屋橋)に移転したときもそんな感じで、当時はMY自転車があったから、事務所近く~概ね1キロ四方~の喫茶店にはかなり行ってみた。隣のトレードピアの地下の店のようにコロナ等で閉めた店もあるけれど、事務所の地下のように短縮営業でしぶとく続く店もあり、ついついチケットを買ってしまう。
コロナをきっかけに事務所の頻度は下がったけれど、自転車のなくなった今も、夕暮れ時など、機会を見つけては喫茶店に足を運ぶ。丼池筋を南に、あるいは八百屋町筋まで、果ては船場センタービルまで足を延ばす。気分で向きを決めれば、即座に店が浮かぶまでになった。
自転車のよいところは、移動しながら街の、通りの変化に気づけることだろう。ただそれは乗り方に、具体にはスピードによる。近年激増したLUUPにも何度か乗ったが、最高速度が時速15キロメートルから20キロメートルになり、乗った感覚が散歩モードから移動モードへと不可逆的に変化し、道を進みながら同時に街を理解する余裕がなくなったことを痛感して、つくづくそう思った。
スピードが認識能力を支配するというのは、下部構造が上部構造を規定するということに近く、自分では操作しづらい類のものだ。とすれば先述の2つのモード、つまりスピードを意識的に使い分けることが必要になる。ついつい移動モードになりがちな自転車を散歩モードに引き寄せつつ、これからも自転車に乗りつづけたい。
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気づけば入社から20年余り。京都事務所の移転を機に、異動することになりました。次も自転車で自分のテリトリーを広げていければと期待しています。
サスティナビリティマネジメントグループ 長沢弘樹
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