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235号(2022年9月号)その他

適塾路地奥サロン報告


「みんなでかたる まちづくりと言わないまちづくり」講師 熊本大学大学院先端科学教育部 准教授(地域風土計画研究室) 田中尚人氏、「長屋再生から始まる地域の小さな暮らし~オープンナガヤ大阪の取り組みと大阪長屋の改修事例~」講師 大阪公立大学大学院生活科学研究科 准教授 小池志保子氏

「みんなでかたる まちづくりと言わないまちづくり」
講師 熊本大学大学院先端科学教育部 准教授(地域風土計画研究室) 田中尚人氏
(第47回 2022年7月25日)
 第 47 回では、田中尚人氏をお招きしました。
 講演では、ご自身が関わられている地方都市でのまちづくり活動の事例をご紹介いただきました。講演の初めには、「持続可能」とは変わり続けることであり「不易流行(変わらないことと変わり続けること)」が大切であるということをお話いただき、参加者からも納得の声が聞かれました。
 事例紹介の中では特に、地域の中学生が地域の「今」を次世代に伝えるための映像制作の事例において「子どもたちが地域を知り、地域を考え、それを伝えていくことで、地域のことが自分事になり、地域の持続可能性につながる」という地方都市でのまちづくりにおいては重要な要素となる次世代の存在と地域を自分事として捉えることの重要性をご紹介いただきました。
 お話から、地域の方々だけでなく、ご自身も地域を楽しまれている様子が伺われ、まさに「まちづくりと言わないまちづくり」を体現されており、私も地域を楽しみながら関わり続けたいと思いました。(内野絢香)


「長屋再生から始まる地域の小さな暮らし~オープンナガヤ大阪の取り組みと大阪長屋の改修事例~」
講師 大阪公立大学大学院生活科学研究科 准教授 小池志保子氏
(第48回 2022年8月26日)
 第48回を迎えた適塾路地奥サロンでは、小池志保子氏をお招きし、「長屋再生から始まる地域の小さな暮らし」という題目で、大阪長屋の改修事例や長屋で繋がる素敵な人々のお話をいただきました。
 講演会では、実際に小池先生が主体となって取り組まれている「須栄広長屋」を中心に、長屋改修のデザイン手法を丁寧にご紹介いただきました。リノベーション理論として挙げられていた、①住み継ぐための保存とデザイン、②近代長屋の住み継ぎと大阪の住文化の持続の2点は、単に空き家問題を解決するに留まらずに、地域やコミュニティの活性化、大阪らしい住文化の継承にも繋がり、大量に存在する「建築ストックの可能性」を改めて感じさせられました。
 参加者からは「ぜひ長屋に住んでみたい」という声があった一方、「改修費用は何年で回収するのか」という現実的なお金の話もあり、この当たりはまだまだ議論するべき余地が残っているとも思いました。長屋という存在が、いつかは大阪のシンボルとなることを願って、これからも何らかの形で長屋に関わっていきたいと思います。(山口泰生)

適塾路地奥サロン実行委員会 内野絢香・山口泰生

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