レターズアルパック
Letters arpak農業・農村の「多面的な機能」の維持・発揮に向けて
農業・農村には、お米や野菜などの農産物を生産・供給する機能以外にも様々な働きがあります。
農業・農村には、お米や野菜などの農産物を生産・供給する機能以外にも様々な働きがあります。
例えば、田畑には一時的に雨水をためることができるため、洪水を防ぐ働きがあります。また、棚田のように斜面に作られた田畑は、耕作が続けられていると、雨水が田畑に貯留され、地下水が急激に増えないため、土砂崩れ等の防止につながります。この他にも、美しい農山村の景観が保たれていたり、様々な生き物の生息場所となるなど、私たちは気付かずに農業・農村の「多面的機能」の恩恵を受けています。これらのことから、「業」として農業を続けることが難しい農地も、「農空間」として保全していくことが望まれます。農林水産省では、このような多面的機能を維持・発揮に向けて、多面的機能支払交付金、中山間地域等直接支払交付金等の施策が行われています。
多面的機能支払交付金は、農業者や地域住民などの個人、農業法人や自治会などの団体などで構成された活動組織が主体となり、「地域共同」による様々な活動に活用されています。例えば、農用地や水路等の地域資源の基礎的な保全管理、老朽化が進む農業用排水路等の長寿命化のための補修・更新、さらには、生きもの調査や農業体験イベントなどの地域住民向けの啓発活動などが行われています。
交付金により農空間が保全されている地域がある一方で、非農業者など多様な主体の参画や広域化による対象組織のさらなる体制強化や取組拡大、事務等の負担軽減などが全国的な課題として、指摘されています。
アルパックでは今年度、地域産業イノベーショングループとともに、兵庫県において、県内の各地域で今後も多面的機能が維持・発揮できるように、活動組織を支援する仕組みづくりについて検討しています。
写真出典:多面的機能支払制度活動取組事例集(発行:兵庫県多面的機能発揮推進協議会)
都市・地域プランニンググループ 末次優花
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