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Letters arpak知る・守る・伝え感じる、ふるさとの誇り 「渥美窯」国指定3史跡の保存活用計画
愛知県の渥美半島の先端に位置する田原市には、平安時代の終わりから鎌倉時代にかけて操業した中世陶器の一大生産地である渥美窯があります。
愛知県の渥美半島の先端に位置する田原市には、平安時代の終わりから鎌倉時代にかけて操業した中世陶器の一大生産地である渥美窯があります。
渥美窯は、三河地方で最大の窯業地であり、尾張地域の常滑窯・瀬戸窯の製品に先んじて各地に製品流通したなどの点で重要性が認められています。この渥美窯のうち、「百々陶器窯跡、伊良湖東大寺瓦窯跡、大アラコ古窯跡」の3史跡が、特に重要なものとして国指定史跡として指定されています。
この度、これら3史跡について、指定当時からの保存整備の取組や環境の変化などを踏まえ、将来に向けて安定的に保存・整備・活用を図っていくため、史跡保存活用計画の策定を支援しました。
国指定史跡と言えど手厚く保護されているものばかりではありません。民間所有の文化財では所有者の高齢化や相続などにより保存が危ぶまれるものもありますし、公共団体所有でも調査や保存・整備には多額の予算が必要で思うようにいかないケースも多くあります。
そのため、渥美窯全体の価値、その中核となる国指定3史跡の本質的価値を再確認した上で、ふるさとの歴史・文化を誇るものとして、将来世代へと適切に保存・活用・継承していくための方針と施策内容を検討しました。特に重視したのは、未調査のまま地下に眠っている文化財の価値を明らかにするための調査研究の推進と、学校教育や生涯学習と連携した「ふるさと学習」での活用、並びに史跡周辺の公園や観光施設と連携した情報発信やPRです。
地域の子どもたちや人々がふるさとの魅力やすばらしさに気づき、誇りを感じる郷土づくりにつながっていくことを期待しています。
都市・地域プランニンググループ 岡本壮平
235号(2022年9月号)の他記事
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