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235号(2022年9月号)特集「本」

多様な本屋の未来を期待


断捨離時代の本の処遇 事務所移転で、書籍の大半を思い切って処分した。地誌、歴史、都市、建築、経済、文化、芸能、小説など。新書、文庫が大半。手元に貴重な本を残し、段ボール五箱、宅配に渡し、後日、三千五百円が送金された。一冊五十円として、推定七百冊処分。

断捨離時代の本の処遇
 事務所移転で、書籍の大半を思い切って処分した。地誌、歴史、都市、建築、経済、文化、芸能、小説など。新書、文庫が大半。手元に貴重な本を残し、段ボール五箱、宅配に渡し、後日、三千五百円が送金された。一冊五十円として、推定七百冊処分。

積読(在庫)は本の宿命
 雑誌は読んで捨てるが、事例にしたい建築雑誌は保存。単行本はつまらない本以外は本棚に。二度読みすることは無いから積読。

本に救われた青春の悩み
 生きることに悶々と思い悩む青春期。漱石『草枕』で「どこに生まれ、住んでも悩みは変わらない」と悟って、悩みから解放された。

経営の苦しさを本で紛らわす
 名古屋で苦しい経営状況が続いた時、すがるように小説を読み、気を紛らわした。今は卒業したが、以来、小説乱読。名古屋開設時、糸乘さんに頂戴した池波正太郎『散歩のとき何か食べたくなって』がきっかけか。
 読書は電車・バスの中。癒しの筆頭は、江戸下町人情話の山本周五郎。自称「まちの町医者」は『赤ひげ』の影響。平岩弓枝の御宿かわせみはほのぼのとして良い。藤沢周平が似ている。武家女性物なら澤田ふじ子(半田出身京都在住)。膨大な著作量。池波正太郎は江戸切り絵(商工図)収集家。つなぐと大きな地図になる精巧さ。見てきたように江戸の町を描くのは「切り絵」あってこそ。宮脇俊三(世界の時刻表マニア)、世界~日本の鉄道の旅シリーズは優れモノ。乱歩の明智小五郎は幼少期に乱歩が暮らした名古屋栄に記念碑をつくる檄文を依頼された機会に集中読破。
 近代作家は宮沢賢治、芥川、鴎外、漱石、藤村、井伏鱒二、小林多喜二。ドキュメントは司馬遼太郎、沢地久恵、澤木耕太郎、柳田邦夫、民俗学柳田国男に地域の読み方を学ぶ。戦後社会派の野坂昭如、黒岩重吾、宮本輝、五木寛之、ディープな大江健三郎、発想が楽しい稲垣足穂。西山卯三『ああ楼台の花に酔う』は三高生の青春像がよくわかる。絵本はいわさきちひろ、街を描く安野光雅。乱読の跡は書ききれない。

本屋の行方
 本屋が減る反面ネット図書流通、電子図書が広がる。昔は小さな町にも本屋があった。都心の本屋は超大型店に。近頃、癒しのカフェ兼小さな本屋があって、多様な本屋の未來を感じる。本屋に行くことが楽しい時代が蘇ることを期待している。

名古屋事務所 顧問 尾関利勝

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