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235号(2022年9月号)特集「本」

「土を喰らう」が意味すること


来る十一月十一日に、映画「土を喰らう十二ヵ月」が全国で公開されます

来る十一月十一日に、映画「土を喰らう十二ヵ月」が全国で公開されます
 映画「土を喰らう十二ヵ月」は、作家・水上勉さんの料理エッセイ「土を喰う日々―わが精進十二ヵ月―」を原案に、中江裕司監督が脚本を手がけ、オリジナルの物語を紡ぎ出し映画化された作品です。主演は沢田研二さん、キャストに松たか子さん、檀ふみさんなど素敵な出演者がそろっています。九月二十日には中江裕司監督自らが映画を小説化した本も出版されました。
 この作品は「食べること」「料理」に大きな役割があり、料理にも力が入っています。料理は「一汁一菜でよいという提案」等の著者である料理研究家の土井善晴さんが担当されました。
 信州を舞台に、十二ヵ月の季節の移ろいのなかで、食べること、生きることを見つめ直すお話です。映画公開が今から楽しみです。

おばあちゃん家の自慢のコシヒカリです

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毎日「土」と向き合うことで、四季折々の「旬」を生活に取り入れる
 「土を喰う日々―わが精進十二ヵ月―」は、ずっと気になっていましたが、面白くて読書に熱中してしまい仕事が疎かになる不安があり、読めていませんでした。先日この機会にと心を決めて読みました。
 この本では、水上勉さんが9歳から禅宗寺院に入寺して学んだ精進料理が基礎となり、一~十二月それぞれの「旬=土から作り出されるもの」が紹介されています。お寺横の畑で毎日「土」と相談しながらその日の料理を決める。旬を喰らうことは土を喰らうこと、精進料理とは土を喰らうことだと水上さんは書いています。
 私の今の生活を振り返ると、土に直接触れることなくスーパーで買った食材を食べる日々。便利な世の中に甘えている自分に気付き、今の生活が虚しくなりました。そこで、まずは出来ることからと思い、おばあちゃん家に稲刈りの手伝いに行きました。また、アルパックで農業(農空間)や自然、土地利用など「土」に関わる仕事にも携わっているため、人と土のつながりを大切にしながら取り組みたいと思います。

都市・地域プランニンググループ 末次優花

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