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233号(2022年5月号)特集「ともに」

移動のおともに小説を


都市コンサルタントという仕事柄、さまざまな地域の仕事に関わります。そのため、必然と移動が多くなります。朝起きて、直接電車でどこかに行って、事務所によって(あるいはそのまま)、また違う場所に行くといったことも多々あります。一日のほとんどが移動で終わってしまうことも珍しくありません。

 都市コンサルタントという仕事柄、さまざまな地域の仕事に関わります。そのため、必然と移動が多くなります。朝起きて、直接電車でどこかに行って、事務所によって(あるいはそのまま)、また違う場所に行くといったことも多々あります。一日のほとんどが移動で終わってしまうことも珍しくありません。
 移動時間が多い分、その時間をどう使うかが腕の見せ所というか、大切になってきます。人によって時間の使い方が違い、各々の個性が表れます。電車に乗るなりパソコンを開いて作業の続きをする人や、同行者と打合せ、雑談をする人、ゆっくりとしている人など。私自身は同行者といるときは話をして過ごしていますが、一人の時はこう見えて本を読んで過ごしていることが多いです(急な移動でも大丈夫なように、カバンに一冊は本が入っています)。今いる場所とは違う場所に行く。その頭の切り替えに、いったん本の世界に入るという感じでしょうか。どんな本でも読みますが、出来るだけこれから行く場所に所縁のある本を選ぶようにしています。町田市であれば遠藤周作、尾道市なら志賀直哉という感じで。
 特にその地域に初めて行くときは、その地域が舞台になった推理小説を読むことも多いです(浅見光彦シリーズとか)。事件がその地域の観光地や名所でおきてくれるので、移動している間に一通りの地域の情報が入ってきます。目的地に到着して、現地調査やまち歩きをしているときに「ここが事件のあった場所か」という感じで地域をみているので、他の人と違った視点になっている気もしますが。
 ヨソモノとして地域に関わるのですが、その地域で採れたもの、作られたものを食べたり、そこに泊まったり、その地域に関わる時間を増やしながら、少しでもその地域の空気を感じることができればと思っています。
 ポケットに名言を入れるように、移動のおともに小説を。

ソーシャル・イノベーティブデザイングループ 藤田始史

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