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233号(2022年5月号)特集「ともに」

むしとともに ~WITH INSECTS~


今回のお題「ともに」は、「WITH」の意味ということで、社会に目を向ければ、終わりが見えないウィズコロナ、多様性を尊重し共に生きる社会、または、まちづくりの視点から協働、官民連携など、いろいろ連想してみましたが、私らしく(大学の卒論で昆虫やりました)昆虫で話を膨らませてみたいと思います。

 今回のお題「ともに」は、「WITH」の意味ということで、社会に目を向ければ、終わりが見えないウィズコロナ、多様性を尊重し共に生きる社会、または、まちづくりの視点から協働、官民連携など、いろいろ連想してみましたが、私らしく(大学の卒論で昆虫やりました)昆虫で話を膨らませてみたいと思います。
 昆虫とは、理科の教科書にもあったと思いますが、ざっくり言ってしまえば(例外はありますが)、体が頭部・胸部・腹部で構成され、胸部に6本の脚と翅を持った節足動物ですね。カブトムシやクワガタムシのように子供たちに人気のある虫もいれば、ゴキブリやハエのように嫌われたり、ハチのように怖がられたりする虫もいます。卒論は、グンバイムシ(軍配団扇に似ていることから)というカメムシの仲間を研究しましたので、今でも事務所内にカメムシが出現すると駆除要請が入ります(笑)。
 さて、昆虫は、人類が誕生する前の遥か昔から地球上で脈々と営みを続けていますが、種数は、これまでに約100万種が知られており、全動植物の約54パーセントを占めるそうです。人類との関わりについても、カイコの繭から絹糸を生産したり、ミツバチの巣から蜂蜜を採取したりしてきました。昔からいなごの佃煮や蜂の子は食べられていましたし、最近は、昆虫食がブーム?として注目されている話題も耳にします。歴史に目を向ければ、古代エジプトでは、スカラベ(フンコロガシ)が太陽と結び付けられて崇拝され、装飾品等になっていますし、日本では、トンボは後退せず、前にしか進まないことから、勝ち虫として、武士に好まれ、衣服や武具にトンボ柄が用いられてきました。
 このように人類と深く関わり、ともに生きてきた昆虫ですが、現代は、虫嫌いの人が多いように思います。調べてみると、そんな私の疑問に答えてくれる研究がありました。興味のある方は、「なぜ現代人には虫嫌いが多いのか? ―進化心理学に基づいた新仮説の提案と検証―」をご参照ください(紙面の都合上、内容の紹介は割愛します)。

木の葉の裏をめくってみればグンバイムシがいたります

木の葉の裏をめくってみればグンバイムシがいたります

 ここで、虫嫌いが多い現代人に向けて、ウィズコロナならぬ、むしとともにある生活を提案してみたいと思います。まずは、虫について、少しでも知ろうとすることです。例えば、虫全般=気持ち悪い、カメムシ=臭いなど、短絡的に捉える方が多いように思いますが、よく知れば、恐るるに足らずです。実際、あまり臭くないカメムシもいますし、とても綺麗なカメムシもいます。
 次に、少しでも興味が湧いてきたら、アウトドアなどで自然に親しんでいるときに、虫を観察したり、調べてみることです。最近は100円ショップの虫グッズコーナーが結構充実していたり、スマホアプリを利用して写真を送れば、虫の名前が簡単にわかったりと、身近に感じやすくなっています。虫をきっかけに従来の価値観を転換し、自然の親しみ方の幅を広げたら、より豊かな生活が得られるのではないでしょうか。

100円ショップで見つけた昆虫観察ケース(蓋がルーペになっています)

100円ショップで見つけた昆虫観察ケース(蓋がルーペになっています)

建築プランニング・デザイングループ 杉本健太朗

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