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232号(2022年3月)きんきょう&イベントのお知らせ

適塾路地奥サロン報告


第41回は野嶋慎二氏をお招きし、氏の都市デザイン考の指針であるとなるコンパクトシティや拠点のビジョンについてイギリスにおける多様な事例を題材にイメージを共有いただきました。また、イギリスと日本の都市計画の制度や考え方の違いや課題を整理しつつ、日本の地方都市における「コンパクトシティの拠点づくり」について事例や自らの実践を踏まえ、お話しいただきました。

「コンパクトシティ・ウォーカブルシティの考え方から見えてくるまちづくりの姿~地方都市における実践を例に~」
講師 福井大学学術研究院建築建設工学専攻教授 野嶋 慎二氏
(第41回 2021年12月15日)

第41回は野嶋慎二氏をお招きし、氏の都市デザイン考の指針であるとなるコンパクトシティや拠点のビジョンについてイギリスにおける多様な事例を題材にイメージを共有いただきました。また、イギリスと日本の都市計画の制度や考え方の違いや課題を整理しつつ、日本の地方都市における「コンパクトシティの拠点づくり」について事例や自らの実践を踏まえ、お話しいただきました。
 都市拠点として定められた大きな拠点に加えて、その間を埋めるように市民活動レベルやスケールの小さなボトムアップの拠点を、生活やコミュニティの重要な拠点として位置付けていき、多様なスケールで拠り所が存在すべきであるというお話は、従来の「コンパクトシティ」という言葉から連想される拠点像よりも、より解像度が高い印象を受けました。
 「地方都市にはまだまだ課題がたくさんある」としながらも、コンパクトシティや拠点像という大きなビジョンと、ヒューマンスケールの2つの視点をもって「暮らしやすいコミュニティの実現」や「人が気持ちの良い空間」を目指し、ひとつひとつのプロジェクトを実践していく過程は非常に勉強になりました。追随していきたいと思います。(高瀬咲)

「場所の記憶~大阪東部今里界隈 地域基盤をつくった戦前期まちづくりに学ぶ~」
講師 都市プランナー 竹内 陸男氏
(第42回 2022年1月25日)

 第42回適塾路地奥サロンは、都市プランナーの竹内陸男氏をお招きし、氏が生まれ育った大阪東部・今里界隈(旧神路村界隈とその周辺)における戦前期を中心としたまちづくりについてお話いただきました。
 講演では、時代背景や大阪市全体のまちづくりにも触れながら、今里界隈のまちづくり史や面的市街地整備の取組についてご紹介いただきましたが、その内容は多種多様で、とてもユニークなものでした。大規模な河川改修に貢献した耕地整理や花街地形成を目的とした区画整理など現在では考えられないような事業もあれば、受益者負担の考え方により換地評価を行った区画整理などこれからのまちづくりにも生かせそうなエッセンスのある事業もあり、まちづくりの豊かさ、柔軟であることの重要性を感じました。
 今回のサロンは、新型コロナウィルス感染症拡大の影響により、残念ながら完全オンラインの開催となりましたが、竹内さんの講演を聴きつつ、Googlemap上で今里界隈を歩き、束の間の時間旅行にでかけた気分になりました。コロナ禍で旅行がしづらい今、どこか遠くの地域ではなく、身近な地域の歴史を知り、過去に出かけてみるのもおもしろいのではないでしょうか。(山本貴子)
※竹内氏の書籍は、レターズ230号で紹介しています。

適塾路地奥サロン実行委員会 高瀬咲・山本貴子

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