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Letters arpakJR吹田駅前発、ファンを創造しエリア価値を高める実践現場レポート
皆さんは「JR吹田駅前」と聞いて、何を思い浮かべるでしょうか??アサヒビール吹田工場はすぐ出てきても、その次は・・・??大半の駅前は外から見るとこのような状態ではないでしょうか。
皆さんは「JR吹田駅前」と聞いて、何を思い浮かべるでしょうか??アサヒビール吹田工場はすぐ出てきても、その次は・・・??大半の駅前は外から見るとこのような状態ではないでしょうか。
商圏の概念はネットの台頭で消滅、駅前商業地は求心力を失い住宅地化が進みます。駅前が「わざわざ行かない、行く魅力もない」場所になりつつある中、JR吹田駅前で新たなファン・魅力を創る動きをレポートします。
毎月、第一日曜日に駅前のさんくす夢広場で開催されている「ビレッジマート吹田」。地元と繋がりのある飲食店やこだわりあるハンドメイド雑貨店が集まります。コロナ禍でも感染対策を講じながら続けて、はや2年。直近の出店者数は40を超え、定着してきた感があります。
運営に携わるのは「じゃない吹田」。JR吹田駅前は1300年以上も歴史がある旧吹田村にオリジンがあり、今でも高浜神社、浜屋敷など歴史を感じるスポットが点在しますが、吹田は千里ニュータウン、万博公園など「シュッとした」イメージ・・・そう「じゃない吹田」を目指して有志で立ち上げた団体です。
昨年から新旭町通商店街内の一角に常設の「ビレッジマートショップ」をオープン。出店者さんが交代で店番し、マートで出品している雑貨を販売しています。「新しい客層、ファンを作るきっかけに」「出店者の女性たちがやる気になって、いろんな工夫を凝らしてくれている」と、じゃない吹田の生田謙一郎さんは語ります。
「ビレッジマート」で、ふと、オルガンと鍵盤ハーモニカのデュオの演奏が始まりました。実は、JR吹田はジャズのライブハウスが3つも集まるスポット。名うてのプロミュージシャンのギグが繰り広げられる音響も優れた大箱「TAKE FIVE」に加え、ベーシストの佐野さんが店長を務めるコンパクトでアットホームな「Musicbarケセラ」、そして昨年新たに駅前ビルの5階に「Livebarケセラ」がオープン。ケセラはいずれも先の生田さんがオーナー。関西で随一の最高峰ハモンドオルガンB3が入るハコで、オルガンのレジェンド佐々木昭雄さんや、東京と大阪との2拠点で演奏活動をしているオルガン奏者優季さんらがライブを繰り広げます。毎回オンライン配信も組み合わせ、遠方からでもファンと繋がるスポットに。
この数年、コロナの打撃で厳しい状況ですが、一方で新たな店舗の出店も増えてきました。歴史ある吹田村に新風を吹き込むこれらの動き。理解を得ていくのは大変なのですが、エリアの若手も変化の兆しを感じ、議論を始めています。「じゃない吹田」を楽しむ人の輪が広がり、新たなレイヤーがさらに積み重なっていくのを、楽しみに見守っていきたいと思います。
当社は、平成30年度に大阪府の「商店街等エリア魅力向上モデル事業」でJR吹田駅前のエリア戦略作成とエリア価値向上の体制や事業構築をお手伝いしました。その後、地元のメンバーで取り組みを継続・発展させておられます。
都市・地域プランニンググループ 絹原一寛
232号(2022年3月)の他記事
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