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232号(2022年3月)今、こんな仕事をしています

知的障がい者入所施設『横手通り43番地「庵」』の開所から20年経ちます


小舎制・分棟型の施設形態は運営への負担が大きく、理想的ではあるものの実現が難しい中、「庵」はモデル的存在として、20年経った今も全国から多くの方が視察に訪れています。

 小舎制・分棟型の施設形態は運営への負担が大きく、理想的ではあるものの実現が難しい中、「庵」はモデル的存在として、20年経った今も全国から多くの方が視察に訪れています。
 アルパックでは基本計画から設計、工事監理まで行い、その後、継続的に維持管理や改修等メンテナンスのご相談にも乗ってきました。開所後10年以上経過したころから外壁や屋根の塗装替え、空調機器の更新など計画的に修繕を行ってきており、この度は内装の改修を行いました。
 開所当初は、新しい住まいに馴染めず、落ち着かない利用者もおられ、壁のあちこちに破損ができ、修繕しては破損の繰り返しを続けてきましたが、10年以上が経過し、「庵」の生活環境と職員の方々の手厚い支援により、利用者の方も随分と落ち着いてきたようです。「障害のもっとも重い人がその一人ひとりにあった暮らしができる自立のための施設をつくろう」という「庵」の原点となる考えが実現できたのではないかと思います。そういったこともあり、今回傷んでいた部分も併せて壁の改修を行いました。

改修後のユニット内観コルクシート仕上の壁

改修後のユニット内観コルクシート仕上の壁

 これまでは壁の仕上げは石膏ボードの上にビニルクロスを貼っていましたが、今回は表面強度の向上と衝撃吸収を兼ねて、手が届く範囲はビニルクロスではなく3ミリのコルクシートを貼りました。これにより多少の衝撃には耐えることと、意匠的にも新しい雰囲気を生み出すことができたと思います。また当初は少し閉鎖的にしていた入口の門を、利用者に落ち着きがでてきたことから、地域から見ても閉ざされていない明るい門に変えました。門1つでもずいぶん雰囲気が変わります。
 福祉施設が地域のさまざまなつながりのもと、まちの核としての役割を担っていくには、環境の質も上げつつ、地域の価値を高めることも必要だと感じています。そのために建築でできることを実践していきたいと思います。

門扉:改修前 

門扉:改修前

門扉:改修後

門扉:改修後

建築プランニング・デザイングループ 山崎博央

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