レターズアルパック
Letters arpak酒と都市のミッシングリンク
自分が種を蒔くというより、自分が気づかずに落とした種を見つけて、そして水をやってくれる人に囲まれて過ごしてきたように感じます。そんな自分ですので、種を蒔くような意識的に取り組んでいることは特に思い当たりません。ただ、何になるか分からないけれど、なんとなく先の自分に向けて今年から始めたことがあります。
自分が種を蒔くというより、自分が気づかずに落とした種を見つけて、そして水をやってくれる人に囲まれて過ごしてきたように感じます。そんな自分ですので、種を蒔くような意識的に取り組んでいることは特に思い当たりません。ただ、何になるか分からないけれど、なんとなく先の自分に向けて今年から始めたことがあります。
お酒が好きなので、飲んだお酒の醸造所・蒸留所を銘柄とともにグーグルのマイマップに記録しはじめました。まだまだ旗が建っている場所は少ないですが、これを眺めるのが結構おもしろいです。ウイスキーやビールもあるので地図も世界規模になり、国同士の関係性や物流・交易を想像して世界史を抜粋的に学びなおしたり、このあたりの国々はどんなお酒を飲むのか、と各地の主要リカーや植生、土壌を調べたり、そこからシルクロードとの位置関係や大陸内の都市構造なんかに関心を持ったりしています。国内であれば、今まで都道府県単位くらいの意識で飲んでいた日本酒が、マップ上に落とすだけで醸造所同士の近接性に気づいたり、街道などとの交通的な関係を想像したりと、酔いとともにめくるめく思索が広がります。
この経験から得られた教訓は、自分にハマるツールを趣味に持ち込むとどんどんその趣味が拡張していくなということです。今回でいえば、お酒に「地理」と「記録」を持ち込みました。地理だけ(都道府県くらいの意識で飲む)、記録だけ(メモに飲んだ銘柄を記録)では楽しめなかった(続かなかった)ものが、2つを包含したツールの導入でガラッと様相が変化しました。使い勝手も大事ですし、個人的には不完全な記録(酒の銘柄と飲んだ西暦だけのメモ)であることも大事にしています。不完全な記録の方が、思い出す力学が働いて、その過程も楽しめるからです。
だらだらと趣味の話を語ってきましたが、この4月からアルパック4年目になります。既に落ちている種や誰かが落とした種に気づいて、「相乗的に」「創造的に」「統合的に」を指針に仕事に臨もうと思います。
地域再生デザイングループ 小川直史
232号(2022年3月)の他記事
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