レターズアルパック

Letters arpak
   
231号(2022年1月発行)今、こんな仕事をしています

まちの来し方を振り返り、ポストコロナの行く末を考える ~祇園まちづくり研究会がスタートしました~


京都はもとより、本邦を代表する観光名所とされる東山。世界的な疫病の発生から丸2年、国内がようやく落ち着きを見せた昨秋以降、「お日さんの高いうち」に限られますが、徐々ににぎわいを取り戻しています。

 京都はもとより、本邦を代表する観光名所とされる東山。世界的な疫病の発生から丸2年、国内がようやく落ち着きを見せた昨秋以降、「お日さんの高いうち」に限られますが、徐々ににぎわいを取り戻しています。
 疫病が流行る前と様子が異なるのは、街を行き交う人の殆どが国内旅行者であること。紅葉の季節でもあり、長引く「自粛」で心身とも草臥れ果てた皆さんが、全国から癒しを求めて、いや救いを求めてお越しになられているのでせう。訪れた人々の心を安らかにして、再び元気に故郷へお返しするのが京都のチカラ。


 残念ながら数年前まで、このチカラは失われていました。インバウンド客が押し寄せる中、街中には他国の言葉が溢れ、ドラッグストアや家電、飲食や宿泊施設をはじめ、彼らの懐を狙う外部資本が席巻していました。
 一昨年来、様相は一変。国内外を問わず観光客はピタリと止まり、各種催事も軒並み中止となりました。雨後の筍のように打ち立てられたホテルも開店休業、あらゆる店舗が休業や転廃業に追い込まれました。
 祇園とて例外ではなく、未だに明かりが消えたままのお店も少なくありません。そんな中、「未曽有の惨禍の只中にある今こそ、祇園を『日本の美意識に出会える街』へと転換するチャンス」と意気込む人たちがいます。商店街や花街、地元まちづくり団体の皆さんです。
 「訪れた人々の心が美しくなり、幸せな気持ちになれる祇園を目指そう」「清々しい参道をつくろう」「美意識の高い専門店・料理店・花街を取り戻そう」と、事始めの日、祇園某所で研究会を開きました。初回は京都市立芸術大学の前理事長・学長で哲学者の鷲田清一先生を囲んで。深夜に及んだ議論のオチは、「どんなジャンルでも極めた人がいるのが面白いまちだ」ということ。思い浮かぶお顔が多数。
 八坂神社のご加護の許、永らく繁栄を享受してきた祇園。ちょっとやそっとのことでは凹みません。来し方を振り返り、行く末を皆で考えて行動する気概に満ちています。赤穂浪士討入の前夜、仲間を増やさねばと独り言ちた愉しい晩です。

地域産業イノベーショングループ 高野隆嗣

231号(2022年1月発行)の他記事

バックナンバーをみる

タグで検索

ページトップへ