レターズアルパック

Letters arpak
229号(2021年9月号)特集「みのり」

私の梅仕事


私の梅干し修業は二年目に入りました。梅干しは一度漬け始めたら三年は続けなければいけないと言われています。

 私の梅干し修業は二年目に入りました。梅干しは一度漬け始めたら三年は続けなければいけないと言われています。
 「梅を塩漬けして赤紫蘇で色をつけて、天日で干したもの」単純に言うとそれだけのものですが、梅の選び方、塩分をどれくらいにするか、干す時の天候の見極め方など、レシピは、あってないようなもので、自分の五感を使って納得のいく梅干しを完成させるには三年では到底足りないと感じています。
 「梅干しが上手く漬からない年はいい年にならない」という古くからの云われがあります。これは、自身の体調なども関係するかもしれませんが、天候が悪ければ梅の実だけではなく、他の農作物にも影響がありますし、今年のように、例年ならカンカン照りが続く八月に長雨が降って干すタイミングを逸してしまうこともあります。



 梅干しには欠かせない赤紫蘇が、今年は豊作で、しかも梅よりも早い時期に出回り始めました。これも温暖化の影響でしょうか。一度に収穫した農作物は一気に手を加えなければいけません。今年は、梅干しに使うだけでは消費しきれず、「(今年は)赤紫蘇ジュースを濃いめに作った」、「自家製柴漬けにしてみた」など、あちこちで赤紫蘇便りが聞かれました。
 大地の恵みに少し手間をかけ、お天道様の助けを借りて仕上げる楽しみを感じつつ、日本の気候風土が本来のリズムを取り戻すために自分が出来ることを心掛けたいと思います。

建築プランニングデザイングループ 鮒子田稔理

229号(2021年9月号)の他記事

バックナンバーをみる

タグで検索

ページトップへ