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228号(2021月7月号)きんきょう&イベントのお知らせ

適塾路地奥サロン報告


第34回では「ポストコロナの都市のかたち」と題して龍谷大学研究フェロー矢作先生にお話しいただきました。

「コロナ禍で都市は変わるか~欧米都市からの報告~ 」
 講師 龍谷大学研究フェロー 矢作弘氏
(第34回 2021年5月14日)
 第34回では「ポストコロナの都市のかたち」と題して龍谷大学研究フェロー矢作先生にお話しいただきました。
 コロナ禍において、感染拡大抑制のためには、個人・企業・団体、私たちはソーシャルディスタンスを徹底的に実施しなければなりません。その動きの中、地下鉄をはじめ、大都会における公共交通機関は集団感染の原因と叩かれ、高密度都市に対する批判の声がありました。それに対して、先生はアメリカの幾つかの都市の人口密度、そのまちに住んでいる人の構成、所得、インターネットへの接触等を分析した上、高密度都市が感染症に潜在的にリスクが高いが色々な客観的な条件も重なるため、一概にコンパクトシティを批判することができないと述べられました。また、社会に定着しつつあるリモートワークに対して、矢作先生は「コロナ禍はリモートワーキングの追い風になるが、突風にならない」とコメントされました。実際、リモートワークを推進している御本家のGAFAの中でも、オフィスに呼び戻す動きが見られています。最後に、歴史上のパンデミックや災害を経験した都市のハードのかたちを分析しながら、先生は都市が危機から甦ると強調されました。(ホアン ゴック チャン)

「移動貧困社会からの脱却~免許返納問題で生まれる新たなモビリティ・マーケット~」
講師 モビリティジャーナリスト 楠田 悦子氏
(第35回 2021年6月18日)
第35回では楠田悦子氏をお招きし、歳を重ねても障害があっても、安全で自由な移動に困らない、暮らしと社会のためのモビリティ(移動手段)のあり方についてお話しいただきました。
 近年、高齢者の免許返納が増加していますが、送迎の為に家族の負担が増えることや、公共交通は意識のバリアがあり利用し辛いこと、また、外に出ず引き籠って元気がなくなってしまう等の状況があります。楠田さんはそうした、車以外の移動手段が整備されていない日本の状況を移動貧困社会と述べています。今後、そうした交通弱者はより一層増加していくと予想されており、そのための対応策として、様々な移動手段を使うことで、自分で移動できる移動寿命を延ばしていくことが重要であると述べられました。免許返納と公共交通の利用や介護保険等が連携することや、子どもの頃からのモビリティ教育など、ハード面の道路整備だけでなく、行政と事業者が連携する仕組みづくりの必要性について、様々な切り口からお話しいただきました。
 移動は生きることそのものであり、平等にあるべき権利だという視点が、持続可能なまちづくりを考える上でも重要だと感じました。(太田雅己)

適塾路地奥サロン実行委員会 ホアン ゴック チャン・太田雅己

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