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Letters arpakコロナ禍における東京の流通産業調査を通じて
令和2年度、東京都下の流通産業(卸・小売業)一万社を対象に東京都が実施した「東京の中小企業の現況調査(流通産業編)」をお手伝いしました。
令和2年度、東京都下の流通産業(卸・小売業)一万社を対象に東京都が実施した「東京の中小企業の現況調査(流通産業編)」をお手伝いしました。
当調査は、東京都が3つの産業分野(流通産業、サービス産業、製造業)を毎年ローリングして実施しているものです。
東京都の卸売小売業は、全事業所数の24・2パーセント、経済活動別都内総生産(名目)が20・3パーセントを占める産業であり、首都圏の大きな市場を中心に事業を展開している点が特徴となっています。
今回の調査では、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた企業は7割を超え、DⅠ値はリーマンショック時よりも低い値となっており、その影響の大きさが明らかになりました。しかし、このような厳しい事業環境下でも新たな取組にチャレンジする動きがみられました。特徴的だった点は、卸売業では「インターネット販売」「消費者向け販売」「店舗支援の強化」、小売業では、「ホームページ等を通じた店舗・商品の情報発信」「宅配サービス」「インターネット販売」において、コロナ禍で売上高が増加・横ばいの企業よりも減少した企業の方が実施している割合が高く、売上高減少企業も厳しい事業環境の中で新たな取組を実施していることです。
事業環境の変化に適応するだけでなく、さらに以前の事業構成や仕組みを解体し、新たに持続可能な事業のあり方を自ら構築していくことが重要になっていると考えます。それは、コロナ禍だけでなく、昨今の自然災害や地政学リスクの高まりを考慮すると地域経済のレジリエンス力を高めることに繋がり、そのような中小企業の取組を促進する地域産業振興のあり方や方策を今後も追求していきたいと思います。
「東京の中小企業の現状(流通産業編)」 → https://www.sangyo-rodo.metro.tokyo.lg.jp/toukei/chushou/genjyou/
地域産業イノベーショングループ 貴船律子
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