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228号(2021月7月号)特集「東京 TOKYO」

地域の中に「生態系」の息づく、八王子のお話し


『♪僕らの八王子 毎日がいとおしい 笑顔が絶えないこの街で僕ら生きていく』(「僕らの八王子」)。東京都の西の端、八王子市のお話しです。

 『♪僕らの八王子 毎日がいとおしい 笑顔が絶えないこの街で僕ら生きていく』(「僕らの八王子」)。東京都の西の端、八王子市のお話しです。
 2016年から3年間、家族4人で八王子に暮らしていました。冒頭はよく知られた地元ソングの歌い出しで、歌詞の中には「高尾のふもと」と出てきます。山によってまちの境界が縁どられているので、「わたしのまち」と思いやすい空間構成となっていて、住んでいる人の愛着が強いように感じていました。若いころに大学入学や就職を機に市外に出たとしても、出産後に戻ってきて親の近くで暮らし、子育てを手伝ってもらう人も周りにたくさんいました。
 ところで作家の森博嗣は、「都市」での生活の様子を、人間は通勤電車に乗せられて移動し職場で時間通りに働く生活を送っている、人間がまるで機械の一部のようだと表現しています。
 八王子は、自然に触れる生活を目的に移り住む人も多く、庭で綿花を栽培したり、週末には山梨県のキャンプ場へ行くなど、都市に働きに出ることと自然を楽しむライフスタイルが両立しています。また、子育てをしているママが暮らしに近いところで、好きなことやできることを核に、身の丈に合った起業をする動きが活発です。このような起業は、内容もやり方も多様であり、また他の起業者や地域の生活者とネットワークしながら分散的に活動しています。起業ママのコミュニティに成長して、様々なイベントなどに結実しています。その様は、人工と対極にあってより自然に近く、「生態系」を思わせます。
 人工的である大都市の片隅にあって、自然的で有機的な暮らしが成立しているまちなのです。

起業ママたちの手による、駅前イベント ネットワークが表出している

起業ママたちの手による、駅前イベント ネットワークが表出している

都市・地域プランニンググループ 依藤光代

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