レターズアルパック

Letters arpak
   
227号(2021月5月号)メディアウオッチ

書籍紹介『生きた景観マネジメント』(日本建築学会編 鹿島出版会)


「環境の変化を受けながらも、いまも生き生きとある都市やまち、場所を物語る景観-生きた景観。」
 景観まちづくりに関しては、古くは戦前の古社寺保存法などの文化財保存の取組みから、戦後の美観地区・風致地区などの指定に始まり、1960年代の古都保存法、景観条例、伝統的建造物保存地区の制定などの歴史的まちなみの保存、1980年代の横浜市などの先進的な都市デザインの取組み、真鶴町まちづくり条例などの新しい景観の創造、2000年代の景観法の制定、文化的景観など、エポックとなる制度や活動・事業がこれまで展開されてきましたが、どちらかというと景観資源の利活用に重点が置かれてました。

「環境の変化を受けながらも、いまも生き生きとある都市やまち、場所を物語る景観-生きた景観。」
 景観まちづくりに関しては、古くは戦前の古社寺保存法などの文化財保存の取組みから、戦後の美観地区・風致地区などの指定に始まり、1960年代の古都保存法、景観条例、伝統的建造物保存地区の制定などの歴史的まちなみの保存、1980年代の横浜市などの先進的な都市デザインの取組み、真鶴町まちづくり条例などの新しい景観の創造、2000年代の景観法の制定、文化的景観など、エポックとなる制度や活動・事業がこれまで展開されてきましたが、どちらかというと景観資源の利活用に重点が置かれてました。
 本書は、21世紀の景観マネジメントをとりまく潮流を「(1)①景観資源の広がり、(2)都市再生や中心市街地のにぎわいづくりに向けた取組みの広がり、(3)つくる時代からつかう時代へのシフト、(4)震災を乗り越えた復興のデザイン、(5)継続的にまちづくりや景観づくりに関わる担い手の多様化、(6)人中心の都市を目指した公共空間の利活用・再編、(7)人口減少社会における空洞化やつくらない景観への対処、(8)社会実験など活動へと展開する景観づくりへのプロセス」と捉え、「人々のアクティビティと空間によって生み出される都市風景のあるべき姿やマネジメントのあり方、刻一刻と変化するようなシーンマネジメントも景観づくりの取り扱うべきテーマ」として、様々な地区の実践を、資源編、主体編、変化編、地域経営編に分類して紹介し、今後の「生きた景観マネジメント」に向けて提言しています。
 私たちが様々な方々と実践している現場においても、「景観」や「環境」などを代表に、人の暮らしに関する殆どの領域で、学習、計画、実践、評価等していく際には、資源、主体、地域経営など総合的な視点でとらえていくことが必須となっています。
 例えばアメリカ地方都市のダウンタウン再生を目的に開発・運営されている「メインストリート・プログラム」においても、(1)まちのデザイン、(2)地域プロモーション、(3)地域文化・経済の再生、(4)組織運営の4つの視点を同時並行的に徹底して実施していくことが提唱されています。
 今後「景観マネジメント」をテーマに、研究、計画、実践していく様々な人々にとって、新たな展開を考える手がかりになる書籍です。

代表取締役社長 中塚一

227号(2021月5月号)の他記事

バックナンバーをみる

タグで検索

ページトップへ