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226号(2021年3月号)特集「萌え」

アウトドアギアを使う


 「萌え」と言われて私が思いついたのは、アウトドアギアでした。今我が家では、一般的にはソファが鎮座する場所にヘリノックスというブランドの折り畳みチェアがあり、食事をするテーブルにはByer of Maineのロールテーブルを使っています。

 「萌え」と言われて私が思いついたのは、アウトドアギアでした。今我が家では、一般的にはソファが鎮座する場所にヘリノックスというブランドの折り畳みチェアがあり、食事をするテーブルにはByer of Maineのロールテーブルを使っています。何も知らない人が見たら、「アウトドア大好きな人なんだな」って思われるような室礼です。実際にはキャンプすることもないインドア派ですが。
 初めてアウトドアギアを購入したのは、10年ほど前のことです。当時京都の古い町家に住んでいました。町家の冬は極寒で、朝起きたら息が白い。室温がマイナスになることもザラにありました。「このままでは家で凍え死ぬ」という思いから、購入したのがナンガというブランドの寝袋でした。ショップの店員さんが「冬山に行かれるんですね。すごいですね。」とキラキラとした目で話しかけてきて、バツが悪くて適当にやり過ごした記憶があります。マイナス15度まで耐えられるというその寝袋を手に入れて、寒さにこごえていた夜が眠られるようになりました(普通のことですが)。折りたためば掌におさまるような小さなギアで、環境がこんなに変わるのかと驚きました。
 この時を機に、少しずつアウトドアギアを買い集めるようになりました。アウトドアギアの機能的でスタイリッシュで、それでいて「自分この仕事しかできませんが」と言い出しそうな無骨な感じが気に入っています。今では休日に、わざわざシングルバーナーでコーヒーを淹れ、モーラナイフでハムを切り、オリーブのまな板に盛り付ける。そんな生活をしています。日常の中に「わざわざ」を入れることで、当たり前のことが当たり前でなくなるような、新鮮な一日になるような感じがするのです。
 暖かくなったら、太陽の下で、買い集めたギアを使ってみようと思います。まちの見え方が変わるかもしれません。

都市・地域プランニンググループ 藤田始史

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