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225号(2021年1月)今、こんな仕事をしています

田辺駅前商店街のリニューアルが完成しました


和歌山県田辺市は、世界遺産の熊野古道中辺路の玄関口であり、3偉人と言われる武蔵坊弁慶、植芝盛平翁、南方熊楠ゆかりの史跡・名所が多く残っています。南紀エリア有数の繁華街である駅近くの味光路には、夜になると多くのお客さんが集まります。

 和歌山県田辺市は、世界遺産の熊野古道中辺路の玄関口であり、3偉人と言われる武蔵坊弁慶、植芝盛平翁、南方熊楠ゆかりの史跡・名所が多く残っています。南紀エリア有数の繁華街である駅近くの味光路には、夜になると多くのお客さんが集まります。
  田辺市は「世界遺産闘鶏神社を核とした景観整備と駅前空間の刷新」で国土交通省の景観まちづくり刷新モデル地区(全国で10地区)に選定され、アルパックは駅前空間の刷新について、設計等のお手伝いをしました。
 景観刷新にあたり、個々のファサード修景ではなく、熊野古道中辺路の玄関口として、連続したアーケードによる物語と統一的景観の創出を考えましたが、アーケードの新設は原則認められていません。庇の出や素材等について協議し、店側の柱から屋根を出した「シェード」として実現に至りました。シェードの形状をはじめ、歩道のあり方、舗装の仕様などは、商店街の皆様と協議を重ね、検討を進めました。全体のデザインは、熊野古道中辺路や闘鶏神社への導入口になることから和の雰囲気が求められ、濃灰色基調のシンプルな形状とし、軒天は紀州桧をイメージした木目調シートとしました。
 田辺らしさの表現については、照明デザイナーの長町志穂さんに協力いただき、柱が面で光る「光柱」としました。表面には田辺に関係する図柄9種類が薄くプリントされており、裏から光が当たると浮きあがります。弁慶や熊楠等に関係する図柄を探すのも楽しいです。光柱の色は年間で特別な日は変わり、また床面の照度は時間で変わります。帰ってくる市民や味光路を訪れるお客さんを出迎える特徴的な照明です。商店街の皆様の決断により、全国の商店街でも類例のない照明が実現しました。ぜひ夕方以降に見に訪れていただければと思います。

夜景

夜景

光柱図柄:熊楠の粘菌

光柱図柄:熊楠の粘菌

 以前は電線が飛び交っていましたが、シェードの屋根上に各種配線を移して無電柱化を実現し、随分すっきりしました。個店の2階以上は、塗装等でリニューアルを図りました。同時期に駅や交流拠点施設も整備され、以前とは大きく変わりました。コロナが落ち着いたら、ぜひ訪れてみてください。
 最後に、ご協力いただきました商店街の皆様にお礼申し上げます。
※本業務は、高坂憲治、山崎博央も担当しました。
写真撮影:神谷潔(北山山荘)

朝

建築プランニング・デザイングループ 三浦健史

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