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220号(2020年3月)きんきょう&イベントのお知らせ

吉香茶室が第2回いわくに景観賞(建造物部門)を 受賞しました


本誌217号でご紹介した、岩国市吉香茶室の設計が第2回いわくに景観賞建造物部門に選定されました。いわくに景観賞は、「市民一人ひとりが、『景観』を身近に感じ、また景観への意識・関心を深めていただくことを目的」に、平成29年度に創設されたものです。

 本誌217号でご紹介した、岩国市吉香茶室の設計が第2回いわくに景観賞建造物部門に選定されました。いわくに景観賞は、「市民一人ひとりが、『景観』を身近に感じ、また景観への意識・関心を深めていただくことを目的」に、平成29年度に創設されたものです。
 吉香茶室は、岩国藩第12代当主(藩主)である吉川経幹の長男経健が明治25年(1892)、東京から岩国に居を移す際、邸内の祖霊社と共に移築し、その後市に寄付したものです。今回の修理にあたっては、外観を変えることなく耐震補強と修理を行いました。また、茶庭(露地)については近接する錦帯橋や吉香公園と一体となって市民や観光客が回遊できるように回遊動線を計画しつつ、同時に設計した園路と一体となった茶庭となるようデザインを意図しました。

吉香茶室全景

吉香茶室全景

 この度の受賞理由が「屋敷地が開放されていることから、通りがかる人が眺めることができるよう低い塀柵とし、通り抜けの通路を修景している。建築物の改修は和風の趣を維持し、特に外構および通り抜けの通路の修景が、茶室の趣を活かし横山地区の歴史性に配慮した環境整備となっており、屋敷地の景観継承に寄与している」(岩国市景観審議会講評より)であることから、私達がめざしたデザインの考え方が評価されたもので大変うれしく思っています。
 吉香茶室周辺には、錦帯橋はじめ吉川家の居館があった御土居と堀に囲まれた吉香神社(国重要文化財)や錦雲閣(絵馬堂)(国登録有形文化財)、旧吉川家廐門(国登録有形文化財)、能舞台などが横山山頂に再建された岩国城と一体となった美しい歴史的景観をみせています。
 表彰式当日、福田良彦市長とお話しする機会があり、岩国市の観光拠点の一つとして吉香茶室を位置づけた今回の設計意図をお話しし、吉香茶室のある横山地区と錦川対岸の城下町地区を含めた全体の回遊動線の構築をお願いしました。岩国を訪れる機会があれば、是非これらの吉川家の遺構と共に城下町の散策を楽しんでいただきたいと思います。
 なお、第2回いわくに景観賞では、吉香茶室の他に、まちなみ・まちづくり部門で旧山陽道の整備や清掃、遺構調査などを続ける「関戸歴史の会」、耕作放棄地を活用したそばづくりを行う「中倉あすなろ会」、錦川流域の放置竹林の整備や竹資源の活用に取り組む「竹の会」が選定されました。

園路と茶庭塀(山頂に岩国城が見える)

園路と茶庭塀(山頂に岩国城が見える)

福田市長 筆者 小浦審議会会長

福田市長 筆者 小浦審議会会長

 

建築プランニング・デザイングループ 高坂憲治

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