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220号(2020年3月)きんきょう&イベントのお知らせ

適塾路地奥サロン報告


適塾路地奥サロンを開催しました

食とエネルギーによるローカルSDGs戦略~里山資本主義「真庭」の挑戦~
真庭市総合政策部長 新田直人氏
(20回 2020年1月24日)
 真庭市は平成30年度に、SDGsの達成に向けた優れた取り組みを行う先進自治体として、「SDGs未来都市」に認定されました。当日は、「食とエネルギーによるローカルSDGs戦略」と題し、真庭市での取組についてご講演いただきました。
 豊かな森林資源を活かしたCLT等の木材活用やバイオマス発電所の運営、中山間地域を元気にする「スマート農業」の推進、真庭の多彩な地域資源を活かした観光地域づくり、地域循環共生圏構築に向けた「真庭のシシ(ごみアート)」、「真庭里海米」など、様々な取組につきご説明いただきました。
 各部局が違う方向を向いて頑張っている状況から、「真庭里海米」をきっかけに連携して経済・環境・社会をつなぐ、という言葉が印象的で、SDGsの実現のための一つの形であると感じました。(盛川正和)

公共分野におけるプロジェクト・デザインを考える
京都大学大学院工学研究科准教授 山口敬太氏
(21回 2020年2月28日)
 京都などの協議調整型の景観づくりの取り組み事例から、世界の道路空間の歩行者空間化の動向、京都府久御山町の公園の整備・利活用に関する取り組みを実践されている「久御山まちのにわ構想」まで、幅広い内容についてご紹介いただきました。
 特に久御山町ではまちづくり構想の検討から公園の整備・利活用に向けた事業化方策の検討までトータルで関わっておられるということで、研究の枠を超えた取り組みを展開されています。新しい取り組みを進めるには、「いかに面白そうな絵を見せて他の人を巻き込んでいくか」というコンセプターやキュレーターの役割の重要性を指摘されていたのが印象的でした。(橋本晋輔)

世界の観光都市はオーバーツーリズムにどう立ち向かっているか
龍谷大学政策学部政策学科教授
バルセロナ自治大学客員研究員 阿部大輔氏
(22回 2020年3月6日)
 観光都市であるバルセロナ、ヴェネチア、アムステルダム、ベルリンなどのオーバーツーリズムの現状と最新の対応施策についてご講演いただきました。
 コロナウイルスが流行する前の日本では、京都などの観光地で、人の混雑について度々報道されていましたが、オーバーツーリズム現象による大きな影響は、人の混雑ではなく、街の業種業態が観光客向けに大きく変換することだとご説明いただきました。
 具体的には、地域の老舗店舗や生活に密着した店の多くがドラッグストアやチェーン店となり、市場機能が立ち食い機能に変換されることや、物価や地価の上昇により生活居住者が減少することなどが挙げられます。
 関西でも、あらゆる観光地や城下町でレンタル着物店、ドラッグストアなどインバウンド客向けの商店が増えてきていると実感していたので、改めて国内の観光地の危うさを感じました。また、事例としてお話しいただいた「fairbnb」という地域の宿泊事業で得た利益の一部を地域のまちづくり活動に循環するシステムが国内でも広がりをみせる日も近いかもしれません。(水野巧基)

盛川正和、橋本晋輔、水野巧基

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