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219号(2020年1月号)きんきょう&イベントのお知らせ

第19回適塾路地奥サロン「街から教わる地域デザイン論〜アメリカ編」を開催しました。


12月6日の回は、大阪ガスの山納洋さんをお招きしました。メビック扇町などの企画・プロデュース業務に携わりつつ、日替わりで運営するcommon cafe、まち歩きWalkin’ Aboutを立ち上げるなど、関西の文化シーンを創ってきたプロデューサーで、つい最近まで1年間ボストン・ケンブリッジに滞在されていたことから、アメリカ東海岸都市のリアルな姿を聞く会となりました。

 12月6日の回は、大阪ガスの山納洋さんをお招きしました。メビック扇町などの企画・プロデュース業務に携わりつつ、日替わりで運営するcommon cafe、まち歩きWalkin’ Aboutを立ち上げるなど、関西の文化シーンを創ってきたプロデューサーで、つい最近まで1年間ボストン・ケンブリッジに滞在されていたことから、アメリカ東海岸都市のリアルな姿を聞く会となりました。
ボストン・ケンブリッジは、ハーバードやMITに代表される大学と医療機関の集積により大きく発展する一方、ジェントリフィケーションが深刻化。地価が著しく上昇し(一人暮らしのアパートでも月20万円近く!)、移民や低所得者、既存の商店が追い出される状況。その反動で、周辺近郊都市の中には移民の街に変貌するものも現れていました。印象的だったのは街のスーパーで、並べられている食材でどのような人種の方が暮らしているかわかるということでした。こうした顕在化する経済格差が社会やコミュニティの分断を生んでいる状況を是正する政策として、低所得者向け住宅投資減税(LIHTC)を導入し、アフォーダブル住宅を民間投資で誘導しているようです。
 ボストンから離れた郊外都市では、基幹となる製造業、自動車産業の構造変化・停滞の影響が尾を引いて、日本の地方都市のようにシャッター街や人気のない街中が目立ちます。
 「Gateway City」という、交通利便性を高めて街中への投資を促すTOD政策が積極的に進められていますが、「笛吹けど踊らず」で、ますますボストンなどとの格差が拡大する事態に陥っていました。
 テレビのニュースで見るアメリカからは全く想像もできなかった、諸都市の苦闘する様子に、いろいろと考えさせられる会でした。このアメリカ都市の話題を取り上げた書籍を、山納さんらが翻訳し、来年に発売する予定だそうです。ぜひ、チェックしてみてください。

適塾路地奥サロン実行委員 絹原一寛

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