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219号(2020年1月号)今、こんな仕事をしています

災害時のジレンマについて考える~クロスロード・ゲーム~


過年度より、小平市小川西町3丁目地区で「防災」を軸としたまちづくり支援に関わっています。

 過年度より、小平市小川西町3丁目地区で「防災」を軸としたまちづくり支援に関わっています。
 当地区は「防災都市づくり推進計画」(東京都)において木造住宅密集地域に抽出されました。しかし都心部に比して密集市街地としての印象は希薄で、住民も密集市街地改善が喫緊の課題という認識には至っていない状況です。そこで今年度は住民の防災意識の啓発に係るプログラムにも取り組んでおり、その一環として「クロスロード・ゲーム」を実施しました。
 「クロスロード・ゲーム」は阪神・淡路大震災で問題となった「災害対応のジレンマ」をカードゲーム化(矢守教授(京都大学)達により開発)したもので、簡易なシミュレーションを通じて防災意識を育むことができるものとして知られています。紙面の都合上、ゲームの詳細は割愛しますが、一番の特徴は「答えに正解は無い」という点です。
例えば、『母親の立場で考えてください。安全の診断が下りた避難所暮らしは余震が続く中では安心だが、最近風邪が大流行し始めた。幼いわが子に風邪がうつるのではと心配。そこではあなたは避難所を出て半壊状態の我が家に戻る?Yes(戻る)かNo(戻らない)か』という設問があります。当日は「No」の方が過半数を占めました。しかし、「全壊じゃないから自宅に戻っても大丈夫では?」「風邪でなくインフルエンザやノロウイルス等であれば家に戻るかも…」といった意見がありました。このように震災時の経験を踏まえ推奨すべき「答え」はあるかもしれませんが、その「答え」が次の災害時にも「正しい答え」とは限らないという点が肝となっています。参加者の多くは「人の意見を聞いて、そういう考え方もあるのかという気づきがあった」「災害に備えて事前に話し合っておくことの大切さを知れた」という感想を持たれたようです。気軽にできる内容なので、興味を持たれた方は是非、体験してみてください。
※「クロスロード・ゲーム」は京都大学生活協同組合のwebサイトより購入可能です。

都市・地域プランニンググループ 清水紀行

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