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Letters arpakたつの市龍野地区が重要伝統的建造物群保存地区に選定されました
夕焼け小焼けの赤とんぼ♪
誰もが口ずさむことができるこの唄の作詞者三木露風の故郷兵庫県たつの市龍野地区が令和元年12月に重要伝統的建造物群保存地区に選定されました。
夕焼け小焼けの赤とんぼ♪
誰もが口ずさむことができるこの唄の作詞者三木露風の故郷兵庫県たつの市龍野地区が令和元年12月に重要伝統的建造物群保存地区に選定されました。
アルパックでは、平成30年度、保存対策調査及び保存活用計画策定のお手伝いをしました。
![地区の全景](https://www.arpak.co.jp/contents/wp-content/uploads/2019/12/219_2a.jpg)
地区の全景
龍野の歴史は古墳時代に遡り、播磨国風土記には相撲の祖とされる野見宿禰の墓が龍野にあることが記されています。
16世紀頃には赤松氏が龍野城を築きます。鶏籠山や的場山といった山を背後に抱き、揖保川を大きな堀に見立て、扇状地には武家屋敷、沖積低地の部分は町屋が形成され、自然地形を見事に生かしたまちづくりが行われました。近世には城は平山城として整備され、戦国時代の歩みとともに城主が短期間で入れ替わりましたが、江戸時代に入り脇坂氏が入部し、脇坂氏約200年の治世下、醤油醸造業や素麺製造業を保護育成し、藩の産業や商業の奨励策もあり、龍野城下町が発達しました。
今回重要伝統的建造物群保存地区(以下「重伝建地区」)に選定された地区を含む龍野地区は、中世からの町割りが多く残されており、「龍野惣絵図」など複数の絵図に現在の町割りの原型が伺われます。
![豆板ノ小路](https://www.arpak.co.jp/contents/wp-content/uploads/2019/12/219_2b-460x224.jpg)
豆板ノ小路
龍野の町の魅力は、江戸から昭和初期の町家や武家屋敷、寺院など、多様な建築物が混在していることです。また、地区内の通りは、揖保川に沿うように緩やかに湾曲していて、細い小路を通して見え隠れする風景は、何故か歩く人に懐かしさと安心感を与えます。
龍野の醤油生産は16世紀後半から始まりました。揖保川の伏流水が鉄分の少ない軟水であったため、仕込みに使う塩との酸化作用が少なく色のうすい淡口醤油が特産品となりました。素麺製造についても良質な小麦や塩が豊富であったことや、揖保川の水運が原料や製品の運送に大きな役割を果たし、今では手延素麺「揖保乃糸」は一大ブランドとして知られています。昭和の初め頃までは、醤油や素麺の製造所のほか、食料品や衣料品の店が立ち並び、近隣からの買い物客で賑わいました。
![下川原 昔ながらの糀製造所](https://www.arpak.co.jp/contents/wp-content/uploads/2019/12/219_2c.jpg)
下川原 昔ながらの糀製造所
![クラテラスたつの](https://www.arpak.co.jp/contents/wp-content/uploads/2019/12/219_2d.jpg)
クラテラスたつの
重伝建地区に選定されたエリア内には、町家のほか、屋敷型住宅、寺院、洋風住宅が点在し、町家を改装したカフェや昔ながらの醤油や麹の醸造所もあり、様々な表情を見ることができます。また、映画「男はつらいよ寅次郎夕焼け小焼け」のロケ地としても知られています。
今後は益々訪れる人も増えてくると思われますが、古代からこの地で連綿と続いてきた生活の営みや歴史文化・産業を感じながら、ゆっくりと散策してみてはいかがでしょうか。
(この業務は高坂憲治、和田裕介、塗師木伸介も担当しました)
![冬はあったかいにゅうめん](https://www.arpak.co.jp/contents/wp-content/uploads/2019/12/219_2e.jpg)
冬はあったかいにゅうめん
![上川原 江戸時代創業の老舗書店](https://www.arpak.co.jp/contents/wp-content/uploads/2019/12/219_2f.jpg)
上川原 江戸時代創業の老舗書店
![マップ](https://www.arpak.co.jp/contents/wp-content/uploads/2019/12/219_2g.jpg)
マップ
建築プランニング・デザイングループ/鮒子田稔理
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