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218号(2019年11月号)まちかど

北海道ならではのスケール感を堪能


都市・地域プランニンググループで、11月に3班に分かれ北海道の道東、道北、道央視察に行きました。

 都市・地域プランニンググループで、11月に3班に分かれ北海道の道東、道北、道央視察に行きました。
 北海道2泊3日間の旅で小樽、余市、平取、夕張、札幌と巡りました。その一つ、平取町の沙流川流域は、北海道唯一の重要文化的景観であり行ってみたかったところでした。アイヌの伝統文化が残る場所であり、集落は残念ながら現存しませんが、復元されたチセ(家)やプ(倉)があります。森林はアイヌの生活の源であり、その里山景観と精神文化にまつわる数々の伝承地が残っています。アイヌの人々は、厳しい自然に暮らす中で、様々なところに精神的な拠り所を見出していたようです。北海道はあらゆるもののスケールが大きく、アイヌの人々の暮らした沙流川と里山の雄大な風景に圧倒されました。(松下)

沙流川と里山

沙流川と里山

復元されたアイヌの集落

復元されたアイヌの集落

 私たちの班は富良野~旭川に行ってきました。旭川市は人口約34万人の北海道第二の都市です。旭川視察の目的は、全国初の恒久的な歩行者専用道路「旭川平和通買物公園」。JR旭川駅から約1キロメートル続くメインストリートで、広幅員の歩行者専用道路の沿道には、商業・サービス施設が立ち並んでいます。
 当日は、平日にも関わらず、駅の近くのエリアでは多くの人が通りを歩いており、車社会・旭川での意外な光景に驚きました。しかし、その理由も少し歩いてみると納得。通りを歩く人の多くが、駅前のショッピングモールに吸い込まれていくのです。買物公園沿道の商業施設も、チェーンの飲食店やドラッグストア、100均ショップなどが印象に残りました。地元の人に聞くと若い人は、旭川ではなく、札幌まで買物に出ることが多いそうです。
 ただ、中心市街地すべてがそのような状況ではなく、買物公園を少し外れると多数の飲食店がひしめく繁華街が広がっています。夜のまちをみて、北海道第二の都市の勢いが垣間見え少し安心しました。(橋本)

旭川平和通買物公園

旭川平和通買物公園

 訪れたのが11月ということもあり、完全にオフシーズンの釧路・網走は、観光客も少なく、ある意味で素のまちの姿を見ることができる良いタイミングでした。
 個人的なハイライトは釧路湿原です。普段の生活ではなかなか感じることのないスケールでした。視界を遮るものは何もなく、はるか遠くまでずっと湿原が広がっており、そんな景色を目の前にすると、否が応でも自身の小ささを感じざるを得ませんでした。
 釧路から網走は、鉄道の旅でした。1両編成の年季の入った車両に乗り、各駅に停車しながらゆっくり湿原、森、畑を抜けていきます。車窓からの景色はとても北海道らしいもので、エゾシカやタンチョウヅルも見ることが出来ました。4時間という長い移動でしたが、旅の風情を感じながらのんびり過ごしました。
 旅の目的も手段も時代によって大きく変わります。かつて鉄道や車により長距離を短時間で移動できるようになったことについて、「こんなものは旅といえない」と批判する人も多かったそうです。今回の旅もいずれはオールドタイプなものになるかもしれません。どのような形になるかは分かりませんが、再び訪れたいと思える、旅のロマンを感じさせてくれる場所でした。(稲垣)

ずっと続く湿原

ずっと続く湿原

都市・地域プランニンググループ 松下藍子・橋本晋輔・稲垣和哉

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