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218号(2019年11月号)今、こんな仕事をしています

宍粟市山崎地区の歴史的景観を活かしたまちづくり


難読地名で知られる宍粟市は、兵庫県の中西部、兵庫・岡山・鳥取の3県境に位置する人口約2.7万人の中山間・山間都市で、豊かな自然に恵まれた町で、農林業を基幹産業として発展してきました。

 難読地名で知られる宍粟市は、兵庫県の中西部、兵庫・岡山・鳥取の3県境に位置する人口約2.7万人の中山間・山間都市で、豊かな自然に恵まれた町で、農林業を基幹産業として発展してきました。
 特に「森林王国」としてPRするなど県内一の林業の町でもあります。また、播磨国風土記に登場する歴史・伝説の里でもあり、播磨国と因幡国を結ぶ交通・交易の要衝でもありました。今回ご紹介する山崎地区は盆地地形の平地部に形成された市街地であり、宍粟市の中心部として都市機能や交通機能が集積しています。一見すると現代的な街並みに見えますが、実は江戸期の宍粟藩独立に伴って置かれた陣屋と城下町を基礎としています。鍵の手型の道路など城下町の町割り、最上山(さいじょうさん)の麓に造られた寺院群、酒蔵の集積、点在する町家などに、城下町の面影を見ることができます。

カフェを併設する酒蔵が地区イメージを牽引(景観重要建造物)

カフェを併設する酒蔵が地区イメージを牽引(景観重要建造物)

町家を改修した町家ホテルが新たな観光需要を掘り起こす

町家を改修した町家ホテルが新たな観光需要を掘り起こす

 山崎地区では、これまでも歴史的な建築物等を指定して保全したり、伝統的な町並みを守るガイドラインの作成、市民レベルでの城下町の痕跡の発掘・顕彰などに取り組まれてきましたが、どちらかというと中心市街地としての近代的整備が優先されるきらいがありました。しかし、近年は、伝統的な町並みや歴史的資源の価値が見直され、リノベーション手法が普及し町家を活かしたカフェやレストラン、宿泊施設などが誕生し人気・注目を集めるなど、観光やまちづくりを巡る新たな動向が見られます。これは地元の方々による「よいまちプロジェクト」としての活性化活動が大きな役割を果たしています。山崎地区では、兵庫県の景観条例に基づく「歴史的景観形成地区」の指定を受けて、地元主体の景観まちづくりを支援・推進していこうとしています。地区指定を契機に、景観まちづくりの考え方がさらに普及し、歴史と観光と日々の暮らしが調和した山崎らしい景観まちづくりが展開されることに期待しています。

5月の藤祭りでは商店街一帯が賑わいをみせる

5月の藤祭りでは商店街一帯が賑わいをみせる

都市・地域プランニンググループ 岡本壮平

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