レターズアルパック

Letters arpak
218号(2019年11月号)特集「気分をかえて」

油彩「深大寺(じんだいじ)」


油絵が一枚あります。サムホールです。額装していませんが、ウラに「1960年1月10日、深大寺」とあります。東京での建設技術修行中の作です。

 油絵が一枚あります。サムホールです。額装していませんが、ウラに「1960年1月10日、深大寺」とあります。東京での建設技術修行中の作です。

「1960年1月10日深大寺」

「1960年1月10日深大寺」

 絵画実習の講師を勤めておられた伊庭伝次郎先生の北白川のアトリエ―京都二科美術研究所へ通っていたのは、1953年でした。キャンバスが貴重ですので、習作は何度も使い重ねます。それで、一枚も残っていないのです。レターズ前々号(216号)で披露しました1967年のアルパック・アート・コレクション第1号の伊庭新太郎さんは、アトリエでイーゼルを並べていた仲ですが、プロの画家。今や、嵯峨美大名誉教授、二科会の大御所。
 では、自分の「絵」は?
 まちづくり、都市づくりに欠かせないのは、場所、ロケーション。まず観察、或いは記録。その手段としてスケッチ。趣味はと問われて「絵画・園芸・登山」と答えていますが〝息抜き〟でも〝気分転換〟でもありません。ちゃんと目的があります。画家の「絵」とは違います。描き方も違う。1メートルも離れたらとても見られない。そのかわり同じ場所の「定点観察」などがあります。パリ・歴史地区・モンマルトルの例です。その中で、唯一残っていた「絵」として描いた貴重な一枚がこれです。遠景・中景・近景、作法どおりです。

その1:1963年8月

その1:1963年8月

その2:1972年10月

その2:1972年10月

その2:1972年10月

その2:1972年10月

 

その4:1995年6月

その4:1995年6月

 ところが、やっぱり、都市づくり屋になったはずですね。題材に選んだのは調布・深大寺の「神代植物公園」計画地。京都の梅小路公園、大阪の花の文化園を計画した時、神代緑地を想い起していました。大阪も壮大な緑地計画を建てていました。鶴見・服部・・・。公園・緑地も時代相を映しています。東京圏の緑地計画もどのような歴史を刻んできたでしょう。
 さて、このサムホール、額装してあげましょう。

名誉会長 三輪泰司

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