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217号(2019年9月号)今、こんな仕事をしています

丹波市まちづくりビジョンの策定(中山間地方都市における持続可能な都市づくりへの挑戦)


丹波市は兵庫県の中央あたりに位置する人口約6.5万人の都市です。豊かな自然と農産物、景観に恵まれ、京阪神から約1時間という近さもあり、都市と田舎の両方を兼ね備えています。

 丹波市は兵庫県の中央あたりに位置する人口約6.5万人の都市です。豊かな自然と農産物、景観に恵まれ、京阪神から約1時間という近さもあり、都市と田舎の両方を兼ね備えています。
 2004年旧氷上郡6町が合併し丹波市が誕生して以来、地域個性の尊重と全市一体の都市づくりの両立に取り組んできましたが、全国的な傾向と同じく、将来的な人口減少・高齢化が厳しく、暮らしや生業の持続性が危惧されるところとなっています。
 今回のまちづくりビジョンは、団塊の世代の全てが85歳に到達することとなる概ね20年後を展望して、めざすべき「まちの姿」と「暮らしの姿」をセットで描くものです。
 「まちの姿」は都市機能や施設に関するもので、都市の階層性を定義した上で、階層ごとの都市機能配置のあり方を示しています。特に、必要な機能を体系的に示し、今後の集約・再編・誘導等の取組により、生活支援機能の持続性確保を主眼としています。立地適正化計画に近いものと言えます。一方の「暮らしの姿」は市民の日常生活や生業に関するもので、医療・福祉・住民自治・観光交流・公共交通などの観点から望ましい暮らし方やコミュニティのあり方を示しています。
 ポイントは、「まちの姿」と「暮らしの姿」を相互に関連づけて描いている点です。主たる計画要素は都市計画ですが、市民生活を視点に多くの分野との連携を計画することによって、市民目線からは、自分や家族の暮らしのシーンを具体的に想起できる「等身大のビジョン」となっています。
 人口減少・高齢化への対処として、全国的には立地適正化計画が制度化され、「コンパクト+ネットワーク」な都市づくりが増えています。もちろんいずれの都市にも有効性はありますが、機能分化(タテ割り)が進んだ都市部と違って、中山間地域の地方都市では分野間・機能間の関連性が強く、より総合的な計画スタンスが必要だと考えます。丹波市まちづくりビジョンの策定は、中山間地域の地方都市における持続可能な都市づくりプランの貴重な一里塚であると考えます。丹波市の大いなる挑戦に期待を込めて注目していきたいと思います。

図 都市の階層性のイメージ

図 都市の階層性のイメージ

都市・地域プランニンググループ 岡本壮平

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