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217号(2019年9月号)特集「とどける」

国内で18人に1人が体外受精で誕生~平成28年日本産科婦人科学会の発表データより~


平成28年に日本産科婦人科学会が発表したデータによると、体外受精によって国内で生まれた子どもの数は18人に1人程度にのぼるそうです。

 平成28年に日本産科婦人科学会が発表したデータによると、体外受精によって国内で生まれた子どもの数は18人に1人程度にのぼるそうです。
 小学校等で1クラスあたり2人程度は体外受精により生まれた子どもが存在するということになります。30代既婚女性である私からすると、不妊治療は友人何人かで集まって話せば話題の一つにものぼるし、雑誌等でも見かける内容であることから身近な存在であり、「18人に1人」と聞いても驚く数値ではありません。実感として3年後の今では更に増えているのではないかとさえ感じています。
 体外受精に至るまでには、タイミング法、人工授精等の治療を行い、それでも授からなかった場合に体外受精、顕微授精といったステップを踏むことになります。そのため、不妊治療により生まれている子どもの数は18人に1人より遙かに多いといえます。
 同じ子どもを授かるための治療ですが、記事などで文字が並んでいるのを目にすると「受」と「授」の違いが妙に気になりました。子どもを望む夫婦に子どもを届ける治療ですが「受け取る」側と「与え授ける」側の存在を感じたからでしょうか。調べてみると、精子と卵子が出会い結合する治療には「受精」、医師の手を借りて精子を子宮、又は卵子の中に入れて妊娠を成立させる治療には手偏の「授精」という漢字が使用されているそうです。
 晩婚化に伴い高齢出産をする女性が増加してきていますが、それらは不妊治療の進歩によって支えられているところもあります。ただ、妊娠や出産に比べて治療に終わりが見えなかったり、周りに相談しづらい内容であることから20~30代の当事者意識のない人には届きづらい内容とも言えます。
 NPO法人Fineが平成29年に実施した「仕事と不妊治療の両立に関するアンケート」によると不妊治療のために5人に1人は職場を退職している事実がわかっています。また、職場に不妊治療をサポートする制度が「ある」と回答した割合も6パーセントに留まっています。相談しづらい内容であることから会社も実態を把握しづらく支援制度が整備しづらいのだと思います。
 今回この記事を皆さんに届けることで、30・40代の女性にとって仕事と子育ての両立の悩みが、子どもを生む前から既に始まっている人も多く存在することを知ってもらえたらと思います。

地域再生デザイングループ 岡崎まり

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