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216号(2019年7月号)今、こんな仕事をしています

経済だけでなく、社会や環境を意識した地域経済循環の推進に向けて


人口減少社会の中で地域の活性化を図っていくためには、地域内での活発な経済循環を促進し、地域を支え、地域が潤う循環型経済を確立させることが重要です。

 人口減少社会の中で地域の活性化を図っていくためには、地域内での活発な経済循環を促進し、地域を支え、地域が潤う循環型経済を確立させることが重要です。
 滋賀県では平成27年に策定した「滋賀県産業振興ビジョン」の柱の1つとして、「経済循環力の強化」を掲げ、各種事業に取り組んできました。そこで昨年度、滋賀県における地域経済循環の現状の到達点を把握するとともに、県、市町、商工会・商工会議所、企業、家計(個人)の役割を検討し、地域経済循環に資する企業のビジネスモデルの「見える化」に取り組みました。県内で地域経済循環に取り組む市町や経済団体、企業・金融機関、コミュニティ等に「検討委員会」で話題を提供いただき、補足調査を行いながら、検討・検証を進めてきました。
 これまでの地域経済循環は、特に産業の側面からは「資金」の循環が重視され、地域内へ流入する資金を増やすこと、地域外へ流出する資金を減らすこと、地域内で資金の循環を高めることが目的とされてきました。しかし、人口減少社会、少子高齢化社会に突入した今、これまでの右肩上がりの経済成長が期待できないことから、資金循環だけでなく環境の負荷や社会的な土台を維持しながら、持続的に経済成長に取り組む必要があることを再確認しました。特に「自然資本」「人工資本」「人的資本」「社会関係資本」を経済循環に活かしていく視点が大切です。
 また、こうした地域経済循環を普及・拡大していくためには、経済だけでなく社会や環境の視点からも地域を俯瞰し、事業者や支援機関が有機的に連携していくことが大切であり、地域経済循環を評価する仕組みづくりや、立場の異なる組織が共創する推進体制の構築など、引き続き研究していくことが求められます。このため、昨年度は研究会と並行して「地域経済循環コーディネーター養成講座」を開講し、地域経済循環の評価方法に係る演習や、県内の事例視察を通じて、16名の地域経済循環コーディネーターが飛び立っています。

地域産業イノベーショングループ 江藤慎介

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