レターズアルパック
Letters arpak韓国のeスポーツ動向と大阪eスポーツ研究会の立ち上げ
○韓国のeスポーツ動向
1998年韓国にスタークラフト(アメリカのBlizzard社)というPCゲームが現われ、全国で爆発的な人気を得た。同時にネットカフェ(韓国語で「PCバン(房)」という)も発生した。ネットカフェが最も多かった時期は20,000店(現在は約1万店(日本は3千店))であり、韓国のネットカフェは日本より人口比約8.5倍も多いインフラを持っている。
○韓国のeスポーツ動向
1998年韓国にスタークラフト(アメリカのBlizzard社)というPCゲームが現われ、全国で爆発的な人気を得た。同時にネットカフェ(韓国語で「PCバン(房)」という)も発生した。ネットカフェが最も多かった時期は20,000店(現在は約1万店(日本は3千店))であり、韓国のネットカフェは日本より人口比約8.5倍も多いインフラを持っている。
なぜこのような人気を得たのか、韓国は世界で最も「受験戦争」が激しい国であり、主要なターゲットである学生らは勉強以外に放課後部活がほとんどなかったため、午後10時過ぎまで受験の勉強をしたあとできることはPCゲームをやるかPCゲームをテレビでみるかの両選択であった。また1998年当時「IMF(国際通貨基金)危機」で比較的リーズナブルに余暇を楽しめたのがPCゲームであった。これらの要素が結びつきeスポーツ発展のきっかけになった。
1999年以降スタークラフトの爆発的な人気を基にゲーム専門放送局が開局され、プロ選手が登場した。2003年には大企業のプロチームによるリーグ戦が始まる。2004年7月釜山で行われたスタークラフトのプロリーグ決勝戦で観客10万人を集め世界的にも注目を浴び、韓国はeスポーツの聖地になった。またそこでスパースターが多数生まれ、女性ファンが多くなりeスポーツは文化として成り立った。一方韓国政府もこれを認めざるを得ない状況になり、行政からの積極的な支援が始まった。
1998年~2012年まで大人気であったスタークラフトのプロリーグの時代が終わり、LOL(アメリカのRiot Games社(現在は中国の会社))の登場した以降(2010年)韓国のeスポーツは大転換期を迎える。以下の3点が挙げられる。
・「(1)拠点づくり」2016年国によるeスポーツ常設競技場(ソウルOGNeスポーツスタジアム(1000席規模))を設けたことや、中核市による拠点づくり(2019年現在釜山・大田・光州市で500席規模の常設競技場建設中)、またゲーム会社(企業)による拠点づくり(2018年400席規模のLOL PARKなど)を通してプロと准プロ(2軍)の大会を行っている。さらにまちのネットカフェを活用(2017年~)し公認eスポーツクラブとして全国で年中アマチュア育成および地域の大会(全国予選)の場となっている。
・「(2)ゲームの多様化」、スタークラフトによる1核の体系からLOL、OVERWATCH、PUBGや多数のMMORPG(多人数同時参加型RPG)と格闘技・スポーツゲームなどにより多様化された。
・「(3)やるゲームからみるゲームに転換」プロ選手がストリーマー(引退後も可能)になりYouTubeやtwitchなどで動画配信サービスを活用して一人放送のようなシステムが構築された。また生計維持にもつながった。韓国コンテンツ振興院(政府機関)に毎年発行される「2018eスポーツ実態調査」では、韓国eスポーツ産業(2017年約100億円規模)のうち放送社46.5%、ストリミング21.1%(ストリミングは前年比50.5%増加)合わせて約7割であり、メディア比重が極めて高い。
このような内容を含め、メジャーなゲームのプロリーグや世界大会で実績を上げており、韓国はeスポーツの先進国として前に進んでいる。
○大阪eスポーツ研究会の立ち上げ
一方日本は2018年がeスポーツの元年であり全国に広まった。しかし世界のeスポーツ先進国と比較すると20年近く遅れている。
日本は世界有数のゲーム強国でありながらこれほどeスポーツが発達してなかった理由として、既存のコンソールゲーム(任天堂ファミコンなど)を活用した家族・友達単位で楽しむことに慣れていた点(不特定多数がコミュニケーションを取りながら行うオンラインゲームは苦手・シャイ)、オンラインゲームのイメージの悪い点、法律的(景表法・風営法など)な問題が解決されてない点、自宅に比較的ネット環境やPCの普及がされてなかった点などが挙げられる。
eスポーツがオリンピック種目に検討される今、世界的eスポーツの波に乗るためには様々な準備が必要とされる。日本は現状韓国のようなeスポーツの体系を造るのは現時点では不可能であるため、様々な先進事例を参考にする必要がある。しかし韓国と全く同じ路線を歩む必要はなく、日本に適した事業展開を試みることが大事であろう。
今年の4月(株)スポーツ高橋さんからeスポーツを活用して大阪ミナミを盛り上げたいとお話を伺った。大阪ミナミでeスポーツの甲子園を目指し、スポタカさんとアルパック(中塚と朴ら)が「大阪eスポーツ研究会」を設立について検討した。
また産官学のタイアップとまちづくりにつなげることが重要であることを共感し、国(近畿経済産業局)、大阪市(経済戦略局)、大阪観光局、大阪商工会議所、立命館大学鐘ヶ江教授・中村教授、アメリカ村の会、様々な企業の方々にご相談・ご協力してもらい2019年5月31日に研究会を立ち上げることができた(写真上)。アルパックは事務局の役割をしている。研究会では世界におけるeスポーツの現状とミナミがやるべきことについてのセミナーを開いた事や実際eスポーツの体験を通して知ってもらうイベントを行った。
6月11日に中塚と朴はソウルeスポーツスタジアムを見学してきた。プロだけでなく2軍(准プロを育成している)の大会を観戦することができた。また外国人観光客をターゲットにソウル市のツアー・ガイドさんから話を聞いている欧米の観光客たちの様子をみることができた。
今後韓国見学の内容を含めeスポーツ研究会でセミナーを開き、意見交換を行う予定である。また補助金申請などを含め、継続的に活動していきたい。
※「eスポーツ」とは、エレトロニック・スポーツの略字であり、PCゲーム・ビデオゲームなどを媒体にし、複数のプレイヤーで対戦する。
地域再生デザイングループ 朴延
216号(2019年7月号)の他記事
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