レターズアルパック
Letters arpak久御山の水辺からはじまる、地域の“力”が響き合う拠点づくり
久御山町では、宇治川の河川敷を舞台に、災害時の水防拠点と平時のにぎわい拠点の両方の機能を備えた「フェーズフリー型拠点施設」の整備に取り組んでいます。本プロジェクトは、国土交通省による船着き場の整備と連動し、官民連携によって推進される「かわまちづくり」の一環として進められています。
― 住民・事業者とともに育む、フェーズフリー×かわまちづくり ―
久御山町では、宇治川の河川敷を舞台に、災害時の水防拠点と平時のにぎわい拠点の両方の機能を備えた「フェーズフリー型拠点施設」の整備に取り組んでいます。本プロジェクトは、国土交通省による船着き場の整備と連動し、官民連携によって推進される「かわまちづくり」の一環として進められています。
当社では水辺空間の利活用を通じて久御山町に新たな魅力を創出することを目的に、防災と日常利用の両立を図る拠点のあり方を検討。地域に根差し、持続可能な仕組みを構築するため、トライアルイベントや事業者へのヒアリングを重ね、昨年度には「かわまちづくり構想」の策定に至りました。
ヒアリングでは、町内の農業者や事業者に加え、アーバンスポーツ、水辺アクティビティ、キャンプ、動物とのふれあいなど、水辺と親和性の高い機能を実践する町外の事業者にも幅広く協力を依頼。地域に求められる機能や、実現可能な運営モデルを探るべく、事業性や連携可能性を柔軟に検討しています。
また、昨年12月からは、町内外の住民や事業者で、「水辺で何かやってみたい人」を対象としたトライアルワークショップを開催。農地や工場が多いという立地特性もあり、住民だけでなく、農業者や企業経営者も多数参加し、「水辺で面白いことがしたい」「久御山という地域の魅力を高めたい」という想いを出発点に、アイデアの具現化に挑戦しています。

トライアルワークショップ当日の様子
その成果として、今年5月に開催したトライアルイベントでは、規格外野菜を活用した地域グルメ、水辺での遊び体験、自転車ワークショップ、野菜を絵の具に使ったアート企画、河川敷をステージとしたダンス体験など、多彩なプログラムを実施。万博関連の舟運イベントとも連携し、多くの来場者で賑わい、大盛況となりました。

規格外野菜を活用 した御当地グルメ「久御山ちゃんこ」

八幡市から来た舟運
現在は、「かわまちづくり計画」の策定に向けて、これまでのヒアリングやワークショップで連携に意欲を示してくれた農業者や企業とともに、具体的な事業化や運営組織の立ち上げに向けた準備が進行中です。
近年の公共施設整備では、「場所をつくってから使い方を考える」従来型から、「使い方や機能、運営の仕組みを先に設計し、そこから施設を形成する」実践的なアプローチへと大きくシフトしています。このプロジェクトでも、住民、事業者、関係団体と協働しながら、施設のあり方や運営スキームを段階的に検証。人と人、産業と水辺・施設が有機的に関わり合う、新たな拠点の可能性を模索しています。
久御山の水辺から始まる、未来のにぎわいづくりに、ぜひご期待ください。
地域再生デザイングループ 髙瀬咲
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