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251号(2025年9月)特集「官民連携のにぎわいづくり」

特集テーマ「官民連携のにぎわいづくり」


「官民連携のにぎわいづくり」は近年、まちづくりの界隈で広く聞かれるようになりました。公共セクターと民間セクターが連携してにぎわいをつくっていく官民連携のアプローチは多くの効果を生み出してきています。
しかし少し気になるところもあります。

 本号の特集テーマ「官民連携のにぎわいづくり」は近年、まちづくりの界隈で広く聞かれるようになりました。公共セクターと民間セクターが連携してにぎわいをつくっていく官民連携のアプローチは多くの効果を生み出してきています。しかし少し気になるところもあります。
 ひとつは「官民連携」。注意しないといけないのは両者の立場の違いによる活動目的の違いです。公共セクターは公共サービスの提供や地域の課題解決などに長期的な視点から対応していくこと、民間セクターは短期的に収益をあげることが目的です。この違いを意識しておかないと「公共リソースを民間事業者の収益のために使わせている」といった批判が出てくるでしょう。
 もうひとつは「にぎわいづくり」。まちはにぎわわせないといけないのかという点。もちろんまちのにぎわいは人々の交流を生み、地域経済の面でもメリットがあります。しかし外からの来訪者を呼び込みたいのか、地域住民の活動を活発にしたいのか、どのようなにぎわいをつくりたいのかが問われるべきでしょう。まちづくりの目的に関わってくる問題です。
 官と民の連携は近世以前からあったものですが、いわゆる「官民連携」は、かつてのサッチャー政権下の英国での小さな政府による市場原理重視の政策を起源とするといわれています。成果をあげた点も多いのですが、行き過ぎた新自由主義による企業主導型開発の台頭などの問題点も指摘されています。
 「官民連携のにぎわいづくり」を考えるときは、こうした議論も考慮して、あまりに無批判な姿勢は戒める必要があるでしょう。

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